2021.06.18

強すぎるフランスにポグバがいるのはズルい。小学生と大人の対戦のよう

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

◆エムバペの驚異のテクニックを大解剖。メッシ&ロナウド越えはほぼ確実>>

 ドイツ戦で幻のゴールとなった85分のカウンターは、ポグバが巧みなキープでドイツの囲い込みをかわして、長いパスでエムバペを走らせたところから始まっていた。このポグバ→エムバペのホットラインは、ロシアW杯でもたびたび見られたものだ。

 ポグバが2、3人に囲まれそうになった段階で、すでにスイッチは入っている。

 相手は中盤のポグバへプレスできているから、ボールを奪える想定でディフェンスラインを高く押し上げ、次の攻撃の展開に備えている。

 しかし、そこでポグバは奪われないのだ。イタリアでプレーしていた時代に、「Il Polpo(タコ)」と呼ばれた長いリーチを巧みに操ってボールを渡さず、隙をついて長いパスを相手ディフェンスラインの裏のスペースへ走らせる。そこには競走で絶対的に有利なエムバペがいるという段取りだ。

 相手のプレスをものの見事にひっくり返す。ポグバに相手がプレスしてきたら、フランスにとっては大きなチャンスであり、ポグバ自身はある意味適当に蹴り出してもチャンスになるとわかっているのだ。もっとも、たいがいはエムバペの前方へピンポイントパスになっているのだが。

 これができるのはポグバとエムバペの組み合わせだけだ。規格外の個と個で何ができるかという話で、フランスの強みを象徴している。他の選手で同じことはできないので、チーム戦術ではない。練習も意味がない。そして、各ポジションに二番手を選ばず、その分野の一番手ばかりで編成するフランスは、こうした個と個の組み合わせを頼りにしている。パターンであるようで、ただのパターンではなく、わかっていても防げない類の連係だ。

 両足で強烈なミドルシュートを打てて、FKも決められる。ヘディングは誰よりも強く、長い足を利してのタックル、球際も無類に強い。さらに恐ろしくスタミナもある。どんな試合の流れになっても順応できるフランスのように、ポグバもあらゆる局面で力を発揮できる。

 これだけすべてを備えていながら、いやすべてを備えているからか、ポグバはときどき気が抜ける。何でもできるのに何もやらないことがある。

 そんな天才肌の隣に、滅私奉公の権化のようなエンゴロ・カンテ(チェルシー)がいるのも絶妙の配剤になっている。同じアフリカからの移民の子でも個性が全然違っていて、それもまたフランスらしい。

■WOWOWが「UEFA EURO 2020 サッカー欧州選⼿権」を連日生中継
ヨーロッパ最強国を決める4年に1度のサッカーの祭典が1年の延期を経て開幕。WOWOWでは、「5年分の期待と進化 史上最大の祭典を楽しもう」のコンセプトのもと、ヨーロッパ11都市で開催される全51試合を生中継&ライブ配信。さらにWOWOW 4Kチャンネルでも計22試合(1日1試合)を生中継する。 7月11日(日)の決勝まで、一瞬も目が離せない世界最高峰の戦いを楽しめるはずだ。

WOWOWサッカーアリーナはこちら>>

photo by Getty Imagesphoto by Getty Images

関連記事