リヤド・マフレズ活躍の理由。ルーツはマグレブ、ストリートサッカー出身
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サッカースターの技術・戦術解剖
第57回 リヤド・マフレズ
<マグレブのスター>
「君は日が昇る国から来た。私は日が沈む国の出身だ」
フランスに住んでいた頃、時々そう言われた。彼らは「日が沈むところ」を意味するマグレブの人々だ。場所で言うと、アルジェリア、モロッコ、チュニジアなど西アフリカのアラブ諸国がマグレブで、フランスにはそこからの移民や、移民2世、3世の多くが暮らしている。
CLのパリSG戦で2ゴールを決めたリヤド・マフレズこの記事に関連する写真を見る ジネディーヌ・ジダンはマグレブのスーパースターだが、サッカー界にマグレブの名選手は大勢いる。というより、フランスではフィジカルが強いのは黒人、テクニックに優れているのはマグレブと決まっていたものだ。プロだけでなく草サッカーでも事情は同じだった。
マンチェスター・シティの右ウイング、リヤド・マフレズはマグレブのスターの一人だ。パリの北側、サルセルという街で育った。父親がアルジェリア人、母親がアルジェリアとモロッコのハーフ、移民2世である。
「裕福でないのは間違いないが、貧乏というほどでもなかった」(マフレズ)
フランスのサッカー選手は都市郊外出身者が多い、いや都市郊外からしか出ないと言っていいかもしれない。つまり、ほとんどは移民系だ。移民家族は仕事のある都市の郊外に住む。都市の中では家賃が高すぎ、地方では仕事がないからだ。
長いバカンスの期間に、集合住宅の中庭でボールを蹴っていたジダン、カルフール(フランスのスーパーマーケットチェーン)の駐車場で、カートをゴールに見立ててミニゲームに明け暮れていたティエリ・アンリ...そうして彼らは技術を身に着けている。
マフレズはバカンスをアルジェリアで過ごしたそうだ。その時のストリートサッカーの仲間にはプロになった者もいて、ウィサム・ベン・イェデル(フランス代表、モナコ)はその一人だという。フランス育ちのマフレズが「心はアルジェリアにある」と言うのは、原点のストリートサッカーの場所がアルジェリアだったからかもしれない。
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