鎌田大地がさらに急成長。アシスト数ブンデス3位でCL出場も視野

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Reuters/AFLO

 今季開幕前、鎌田大地(フランクフルト)は自身の契約延長を発表する記者会見の席でこう言った。

「ブンデスリーガで15点に絡みたい」

 すかさず、記者から質問が飛んだ。

「それは15ゴールという意味か? スコアリングポイントのことか?」

 ドイツには、得点とアシストを同じ1ポイントとして合算する「スコアリングポイント」なるものがある。得点とアシストが等価というのも不思議だが、このポイントの順位も選手を見るひとつの指標となる。『キッカー』誌などのサイトを見ても、得点ランクとともにスコアリングポイントランクという項目が記載されている。もちろん、得点ランキングのように、1位になったからといってトロフィーが授与されるなどということはないが。

 鎌田は記者の問いに「スコアリングポイントだ」と堂々と答えた。契約延長を発表したばかりの攻撃の選手から、「15ゴール」という威勢のいい言葉を聞きたかったのだろうが、鎌田の回答は素直だった。質問者は肩透かしだったかもしれないが、その正直さは好感が持て、会見場は笑いに包まれた。

 鎌田がこの時、やや控えめな回答をしたのも無理はない。レンタル移籍先だったベルギーのシント・トロイデンから戻ってきた昨季は、得点が決まらずに苦しんだ。初ゴールは新型コロナによる中断があけた5月のことだった。トータルでは2ゴール6アシストの8スコアリングポイント。鎌田にしてみれば、倍近い結果を叩き出すことを宣言したことになる。

ゴール、アシスト以外のプレーも高く評価されている鎌田大地(フランクフルト)ゴール、アシスト以外のプレーも高く評価されている鎌田大地(フランクフルト) ところが、ふたを開けてみれば今季は第31節まで終えた時点ですでに5ゴール14アシスト、19スコアリングポイント。リーグ全体で9位の数字だ。目標の15スコアリングポイントを達成したのは3月のこと。本人もSNSで安堵の気持ちを吐露した。気にかけていた数字だったのだろう。

 トップ下やシャドーという実質2列目でプレーすることの多い鎌田にとって、5ゴールは決して多い数字ではないように見える。だが、フランクフルトでは現在25得点で得点ランク3位のアンドレ・シウバが圧倒的な得点源で、チーム内ではそのシウバに次ぐ得点数となる。

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