バルサBの安部裕葵、来季への分かれ道。2部昇格最終プレーオフへ
今シーズン、バルセロナのセカンドチームであるバルセロナBは2部B(実質3部。ただし来季から下部リーグは大幅に再編成される)に在籍し、2部A昇格を目指して戦ってきた。コロナ禍による変則リーグ構成で、昇格戦は二度のプレーオフを戦う形に。第一次プレーオフに進出したバルサBは5月2日、イビサに2-1と際どい勝利を収め、1試合を残して最終プレーオフに勝ち進んでいる。
2019年夏に鹿島アントラーズからバルサBへ移籍し、2年目になるアタッカー・安部裕葵(22歳)は、昨年12月に右足ハムストリングを負傷し、長期離脱を余儀なくされていた。しかし今年4月、戦列に復帰。イビサ戦では3試合連続となる後半途中出場を果たしている。
バルサBの昇格、そして安部のトップチーム昇格はあるのか――。
ケガから復帰し、ここ3試合は途中出場している安部裕葵(バルセロナB) バルサは、下部組織であるラ・マシアの発展とともに強くなってきた。
「マシアこそバルサ」
1990年代にドリームチームと言われるバルサを作ったヨハン・クライフがそう指針を定め、クラブの根幹を築いた。バルサがバルサらしくあるため、マシアの最終地であるバルサBはバロメータと言える。
近年、バルサが停滞するようになった理由は、そこが揺らいでいたからだろう。29歳になるセルジ・ロベルト以降、トップで定位置を確保するマシア出身者が出ていない。大金を叩いて各国の代表選手を買い集めるたび、バルサの色は薄れていった。
それがようやく昨今、DFロナウド・アラウホ(22歳)、オスカル・ミンゲサ(21歳)、MFイライシュ・モリバ(18歳)、FWアンス・ファティ(18歳)らが台頭しつつある。
中でもモリバは、マシアの"新たな系譜"と言えるかもしれない。エドガー・ダービッツ、ヤヤ・トゥーレ、ケイタ、パウリーニョなど、これまで外から補強していたパワー系MF。局面での対決に優れ、ゴール前に入れるだけに、バルサBでも主力として異彩を放ってきた。今年に入ってからは、トップでの存在感が増している。
彼らはバルサ新時代の旗手と言えるだろう。2部昇格をかけて戦っている現在のバルサBには、来季のトップ選手候補が他に4人いる。
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