メッシと同種の能力。ペップがシティの「新マジシャン」に固執する理由 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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<シティの象徴となるべき存在>

 昨シーズンをもってダビド・シルバ(スペイン/レアル・ソシエダ)が退団した時、ジョゼップ・グアルディオラ監督(スペイン)はこう言っている。

「代わりの選手を獲るつもりはない。新たなマジシャンが誰かははっきりしている」

 新たなマジシャンはフォーデンを指していた。また、こうも言っている。

「絶対に放出がありえないのは彼だけだ。どんなことがあっても手放さない。フィルこそシティだ」

 抜群のボールタッチ、クイックネス、加速力、ビジョン、決定力とすべてを持っている。ただ、ペップがフォーデンに固執するのは「フィルこそシティ」という理由もあるだろう。

 フォーデンは、マンチェスター郊外のストックポート出身だ。

 ストックポートはマンチェスターの中心部から10キロほどに位置する。地元にはストックポート・カウンティというクラブがあるとはいえ、地区リーグなど下部リーグが定位置。かつてジョージ・ベストとマイク・サマービーがプレーしたこともあるが、ベストはたった3試合、サマービーは3シーズンにすぎない。ベストはマンチェスター・ユナイテッド、サマービーはシティのレジェンドである。

 ストックポートの人々は地元クラブを応援するかどうかとは別に、マンチェスター・ユナイテッドかマンチェスター・シティのファンでもある。フォーデンの家族は熱烈なシティファンだった。

 1970年代まで、シティはユナイテッドと並ぶ強豪だったがその後に落ち込み、栄華を極めるユナイテッドの陰に置かれた時期も長かった。ただ、その時期にもマンチェスターには根強いシティファンが多く、街中の印象で言えばむしろユナイテッドより多いのではないかと思えたぐらいだ。地元の人に言わせれば、ユナイテッドファンなど「にわか」という感じだった。

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