冨安健洋がロナウド、イブラと対戦へ。CBとしても最高評価を獲得 (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by Maurizio Borsari/AFLO

 その後2試合は左SBで出場した後、第14節のアタランタ戦では久々に右SBとしてプレー。過去2年連続3位のアタランタ相手に、右サイドを40メートル疾走し、ワンツーのパスを受けると、今シーズンの初ゴールを決めた。ボローニャの公式インスタではそのゴールを祝い「トミーのゴールは何点?」というコメントとともにゴールシーンをアップ。ボローニャサポーターからは「やっぱりトミーは右がいい」「SBに戻ってほしい!」という声が寄せられた。

 2021年最初のフィオレティーナ戦では、ガリー・メデルがケガをしたため、冨安はCBに戻った。後半になって右SBに移った。この試合の冨安は堅実な守りと、ビルドアップも見せて「6.5」の高い評価をもらっている。続くウディネーゼ戦ではシーズン2ゴール目をマーク。セットプレーからのヘッドでのゴールに、各紙はこぞってチーム最高点の「7」をつけた。この時も冨安のポジションは右SBであった。

 CBとしての冨安も悪くはない。しかし右サイドほどいい結果を出せていないというのがここまでの多くの意見だった。今シーズン、右サイドでは数えるほどしかプレーしていないが、毎回ほぼすばらしいパフォーマンスをしていた。2つのゴールもこのポジションから生まれている。

「CBとしての冨安はおおむねいいプレーをしているが、ときどき軽率なミスがある」と『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は評している。CBはミスがゴールに直結する。駆け引き、判断力、何が何でも止めてやるという強い気持ち、そしてフィジカルの強さも重要だ。

 一方、冨安がCBで安定した力を出せない最大の要因は「マリーシアの欠如」だとシニシャ・ミハイロビッチ監督は指摘する。

「冨安はいい選手だ。彼の本来のポジションはCBだ。フィジカルも強いし、頭もいい。忠告すれば、すぐにそれを自分のものにする。ただ、どうしても狡猾さが足りない。それをイタリアで身につけることができれば、偉大なオールマイティーのDFになるだろう」

 そして先週末の第18節ヴェローナ戦。両SBの選手がケガから復帰したため、冨安は再びCBに戻った。そして彼はこの試合で初めて、完璧なCBとしての働きをした。

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