久保建英の次の「任務」は何か。ヘタフェ監督が賞賛も要求は高い (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「試合前にタケとは話をした。彼は質の高いFKを蹴れる。ヘタフェには他にもキッカーはいるが、タケに任せることにした。事実、とてもいいボールを蹴っていた」

 ボルダラスはそう語って、久保をキッカーに指名していたことを明らかにしている。

そして冒頭に記したように、久保は「ヘタフェの選手としての仕事」もしていた。足を使ってプレスをかけ、勤勉に帰陣。69分、マウロ・アランバリの先制点のシーンも、久保が必死にプレスバックをすることでボールを下げさせ、GKが長いボールを蹴り込んだところを味方が跳ね返し、そのままカウンターに持ち込んだものだ。

 プレー様式は変化しても、「泥臭く戦え」というベースは同じ。チームのために戦えない選手は、ヘタフェでは使えない。

 久保は指揮官の求めに応じるように、その後も献身的だった。突破を試みる相手に立ちはだかって体をぶつけて倒れ、右からのクロスに対して適切に守備のポジションをとってファーサイドの選手に仕事をさせていない。小さな体を張る姿が目立った。最後は疲労で動きが鈍くなり、79分にフランシスコ・ポルティージョと交代したが、及第点のプレーを見せたと言えるだろう。

「(成績でいえば)良。前半、スペクタクルな技術の数々を披露した。(マーカーのハビ・)ガランとの1対1は最高だった」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』も高評価で、二つ星(0~3の4段階)を与えた。1-0でチームが勝利した点も大きいだろう。移籍後は連勝で、暫定ながら10位まで順位を引き上げているのだ。

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 もっとも、久保が真価を問われるのはこれからである。ウエスカは昨シーズンまで2部におり、今シーズンは最下位で監督が交代したばかり。対峙した選手の質も高いとは言えない。相手に攻められる時間が長くなった時、チームをけん引できるのか。守備に体力を使うと、どうしても攻撃に入った時の動きは鈍くなるだろう。

 チームが攻撃的にシフトしたのは、得点力アップが急務だったからで、その点、久保にはゴール、もしくはゴールに直結するプレーが求められる。それはボルダラスの証言からも伝わるだろう。

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