一発退場メッシの前にも立ちふさがる。バスクはなぜ名GKを生むのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 自らを鍛錬し続け、重圧に負けない。

 今シーズン、リーガ・エスパニョーラで首位を争うレアル・ソシエダの正GKであるアレックス・レミーロは、バスク人である。レアル・ソシエダの仇敵アスレティック・ビルバオの下部組織で育ったが、同世代に代表にも選ばれているシモンがいたことで、ライバルチームへ果敢に鞍替えし、頭角を現した。キックのよさに特徴がある非凡なゴールキーピングで、今やスペイン代表入りも噂される。

 近い将来、代表はケパ、シモン、レミーロと年の近い3人のバスク人GKの争いになるかもしれない。その光景を見た少年バスク人GKたちは、トレーニングに精を出す。バスク人GKであることに誇り高さを感じながら――。

 ちなみに、バスク人GKの系譜に唯一、長く風穴を開けたのがイケル・カシージャスだったが、「イケル」はバスク人名である。カシージャスの母親がバスク人の名前の響きを好み、息子につけたという。血筋的にはバスク人とゆかりはないが、奇妙な縁である。

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