2021.01.17

グアルディオラ戦術の重要人物。ジョアン・カンセロのマルチぶりがすごい

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 カンセロは右だけでなく左SBでもプレーできる器用なタイプだが、右足から放たれるクロスボールが武器なので、やはり本職は右SBである。クロスの種類やアイデアが豊富で、アーリクロスもハイクロスもあり、スピード、高低も自在。いつ、どこへボールを出せば得点になるかを見極める目がすばらしい。

 俊敏で縦へ運ぶ推進力があるのは、サイドプレーヤーとして望まれる資質そのものだが、シティではむしろ中央へ入ってプレーするようになった。以前はサイドのスペシャリストと思われていたが、よりマルチな能力を発揮するようになっている。

 シティのボール支配において、カンセロのプラスアルファは大きい。さらにサイドへ張っているウイングが中へ入った時には、カンセロがウイングとなってサイド攻撃を仕掛けることもできる。選手の可能性を拡大してチームのメリットに結びつけ、本来の個性も阻害しないのは、グアルディオラ監督らしい手腕の冴えがある。

 攻撃面でカンセロは隠れたキーマンと言える。一方、攻撃から守備に移った時にはSBとしてプレーするのだが、その時の3バック→4バックの移行がシティの弱点になっている。DFが3人→4人となる過程では人の移動が大きいので、穴が空きやすいのだ。プレミアリーグのトッテナム戦では、左の偽SBとしてプレーしたカンセロのところにソン・フンミン(韓国)をぶつけられて、移動で発生するギャップを突かれていた。

 ただ、こうしたリスクは必要なコストと考えるべきなのだろう。カンセロが攻撃に加わるメリットのほうがはるかに大きいからだ。とくにパスワークにリソースを割く現在のやり方であれば、カンセロの役割は不可欠になっている。

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