マネが持つストリート育ちの強みとは。型破りなのにチームのために走る (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 ザルツブルクでは2シーズン在籍して63試合で31ゴールを決めた。プレミアリーグのサウサンプトンへ移籍して2シーズン、2016年からはリバプールでプレーしている。ヨーロッパに来て5シーズンでトップクラスのクラブまで駆け上がったわけだ。

<型にはまらないプレー>

 ストリートフットボーラーは、育成されたフットボーラーよりフットボーラーであることが多い。

 1980~90年代に活躍したコロンビアの英雄カルロス・バルデラマは、同国のサンタ・マルタのストリートフットボーラーだった。ジネディーヌ・ジダン(フランス)はマルセイユの団地の中庭で技を磨いた。

 ストリートフットボールは純粋な遊びだ。空き缶や石ころで適当にゴールをつくり、テニスシューズやサンダル、裸足でプレーに興ずる。時間も無制限。ティエリ・アンリ(フランス)は、カルフール(スーパーマーケット)の駐車場でショッピングカートをゴールにして遊んでいたという。

 ジダンやアンリの世代で、ストリート育ちは比較的珍しい。だが、バカンスに出かけない移民家族に生まれた彼らにとって、夜9時ごろまで明るく長い夏を、ボールと共に過ごしたのは大きかったのではないだろうか。

 学び方には分習法と全習法がある。分習法は、サッカーであれば、想定される状況下での技術を反復して身に着けていくもの。例えばクロスボールをシュートする、中間ポジションで縦パスを受けるなど、特定の状況を想定して集中的に練習するわけだ。サッカーを構成している部分を、切り取って学んでいく。

 一方、全習法はゲームだ。ひたすら試合をこなしていく。必要なことはすべてゲームのなかにある。どちらがいいというより、両方を組み合わせていくのが普通だろう。

 ストリートフットボーラーは、ひたすら全習法だ。全習法にはすべてが含まれているが、分習法に比べると効率は悪い。ただ、その量が圧倒的ならゲームこそ最良のトレーニングになる。少年期に圧倒的な量をこなしていたことが、ストリートフットボーラーの強みと言える。

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