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メッシ茫然。CL大敗にリーガ勝率5割の屈辱。バルサの伝統はどこへ?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 12月8日、チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ最終節。バルセロナは本拠地でユベントスと戦い、クリスティアーノ・ロナウドに2発を食らうなど、0-3という屈辱的な負け方をしている。先制点のPKは不運だったが、開始20分で押し込まれる形となり、なす術がなかった。リオネル・メッシだけは孤軍奮闘していたが、ことごとくGKジャン・ルイジ・ブッフォンに防がれ、最後は悲哀を誘った。

 決勝トーナメント進出はすでに決まった両者の戦いで、記録として失ったのは首位通過の座だけと言える。しかし、CLでの5連勝によりリーガ・エスパニョーラでの不振を隠してきただけに、化けの皮が剥がれた形だ。

「試合の入り方がまずかった。若い選手には良い教訓になったはずだ」

 ロナルド・クーマン監督は試合後にそう語ったが、そんなレベルの話なのか――。
 
ユベントスに大敗し、茫然とした表情のリオネル・メッシ(バルセロナ)ユベントスに大敗し、茫然とした表情のリオネル・メッシ(バルセロナ) 昨シーズン終盤と比較するなら、クーマン監督は勝ち点を稼げるチームを作り上げつつあるとも言える。リーダーとして集団を束ねる力は強く、前任のキケ・セティエンとは比べ物にならない。気難しいリオネル・メッシの手綱もしっかりと握っている。

 伝統の4-3-3を捨て、堅実な4-2-3-1を採用し、一見、負けにくいチームにはした。ダブルボランチで守備が安定。力の落ちる相手には、前線のワールドクラスのアタッカーたちが一発を見舞っている。

 17歳の攻撃的MFペドリは、2部ラス・パルマスから移籍したばかりだが、クーマンの申し子と言えるだろう。若き日のアンドレス・イニエスタも彷彿とさせる好選手だ。サッカーIQが高く、トップ下、サイドアタッカー、ボランチとあらゆるゾーンで適応し、精度の高いプレーを見せている。一流選手との化学反応を見せ、飛躍を予感させる。

 だが現時点で、クーマンの功績はこの域を出ない。

 危惧すべきは、"バルサの匂い"が消えつつある点だろう。リーガ第10節、カディスに2-1で敗れた試合は象徴的だった。バルサ本来の、攻撃の意外性が減っているのだ。

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