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ダビド・シルバは久保建英と同じ「360度」の選手。瞬間的な認知力が抜群だ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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サッカースターの技術・戦術解剖
第34回 ダビド・シルバ

<マンチェスター・シティ→レアル・ソシエダ>

 10年間で309試合に出場したマンチェスター・シティを退団したダビド・シルバが、次に選んだクラブはレアル・ソシエダだった。

マンチェスター・シティからレアル・ソシエダに移籍して活躍するダビド・シルバマンチェスター・シティからレアル・ソシエダに移籍して活躍するダビド・シルバ どんな名選手でも必ずピークを過ぎる。シルバは依然としてシティで最も重要な選手のひとりだったが、「階段を下りる」ことにしたようだ。

 ピークは過ぎたが引退するには早すぎる。「階段を下りる」は、ミカエル・ラウドルップがレアル・マドリードを退団し、次のクラブにJリーグのヴィッセル神戸を選んだ時のコメントだ。ちなみに、アンドレス・イニエスタもバルセロナから神戸へ移籍している。

 ただ、シルバの場合、階段の下り幅は小さい。レアル・ソシエダはリーガ・エスパニョーラの名門クラブで昨季は6位、リーグのレベルはプレミアとほぼ変わらない。そして今季は10試合を消化した時点で首位にいる。

 消化試合数にばらつきがあるため、首位は暫定的であり試合を重ねていくにつれて順位も変動していくだろう。だが、今季のレアル・ソシエダは、たしかによいプレーをしているのだ。

 イマノル・アルグアシル監督が率いる、"バスクの雄"のプレースタイルは、かなりトラディショナルだ。フォーメーションは4-3-3、今時のチームなら大抵やっているビルドアップでの形状変化もない。

 4バック+ピボーテ(守備的MF)の5人、3トップ+インテリオール(インサイドMF)の5人と、前後にきれいに分かれたままボールを回している。この点では古いスタイルと言っていい。

 しかし、古いからよくないわけではない。レアル・ソシエダの場合、よいから古いのだ。

 4バックとその前に位置するマルティン・スビメンディの後方グループで、辛抱強くパスをつないでいく。右から左、左から右。隙が見えたところで縦パスを前方へ入れる。下りてこないインテリオールはシルバとミケル・メリーノ。中間ポジション(相手と相手の間)をとりつづけ、足下へ入ってきた縦パスをシンプルに捌く。

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