柴崎岳が新天地レガネスで担う役割は。
開幕戦は「ぶっつけ本番」
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昨年、1部リーグに在籍していたレガネスの本拠地ブタルケで、筆者は、レガネスと久保建英を擁したマジョルカとの一戦を取材している。スタジアムは最大収容人数約1万1500人と小さいサイズだが、そこで発生していた熱気は猛烈だった。平均集客率は90%以上。満員の観客が一体になっていた。ホームチームの選手に対する歓声や拍手は、空気が震えるほどだった。
マドリード郊外にあるレガネスは、決して裕福なクラブではない。しかし、関わる人々の熱量は高かった。そのおかげで、栄えある1部の舞台で戦うことができていたのだろう。
何より、その熱量に選手が触発されていた。
チームとしては戦力的に苦しみ、2部に降格することになった。しかし、シーズン途中にユセフ・エン・ネシリ(セビージャ)、マルティン・ブライスワイト(バルセロナ)が"個人昇格"。そして2シーズン、レアル・マドリードからのレンタルで主力として戦った若手オスカル・ロドリゲスは評価を高め、セビージャへの移籍が決定。スペイン代表にまで選ばれている。
ブタルケは、選手が夢を見られる場所と言えるだろう。長くプレーする選手が多いクラブではない。さまざまなクラブからレンタルされた若手や、再起を目指す中堅、あるいはあきらめずに戦うベテランたちが、"踏み台"にする。そこで勇敢に闘えた者は、またどこかに場所を見つけられるのだ。
昨季はデポルティーボ・ラ・コルーニャで26試合に出場した柴崎岳(レガネス) 日本代表MF柴崎岳(28歳)が、デポルティーボ・ラ・コルーニャからレガネスに移籍することが発表されている。移籍金はゼロで3年契約。まずは1部昇格を目指すことになるだろう。
では、柴崎は新天地レガネスでどのような役割を担うことになるのか?
柴崎は、スペインでの5シーズン目になる。そのプレーセンスは高く買われる一方、守備面の強度やパーソナリティに関しては厳しい見方もある。監督、チーム状況、カテゴリーのレベルによって、その評価は大きく変動する選手だ。
たとえば、昨シーズン昇格を狙ったデポルで、柴崎はアンケラ、ルイス・セサル・サンペドロという2人の監督には「使いどころが難しい」と、重用されなかった。しかし、フェルナンド・バスケスには「どのポジションでも、高いレベルのプレーができる」と、信頼されていた。
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