岡崎慎司が明かす、VARで7点取り消しもなぜポジティブでいられたのか (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 そのアルメリア戦で岡崎はやや後方にずれたクロスに体を投げ出し、ヘディングで枠に飛ばす岡崎"らしい"スーパーゴールを叩き込んだ。

「シーズン中は常に緊張感があります。でもそのなかで『あ、これは勝負やな』っていう試合が必ずあるんですよ。そうした試合の前はより特別なモチベーションを持って、いい状態で入れていたのがよかったなって思いますね。実際は別にそこを逃したとしてもその反省を次に活かすだけなんですけど、そんな流れにもうまく乗れたのは大きかったと思います」

 そうした勝負の場面でとにかく岡崎は決定的な仕事をやってのけ、それが1度や2度ではなかった。

「個人的にアルコルコン戦(第39節)のダイビングヘッドがいちばん自分らしくて好きですね。ただ、苦しいなかで取ったゴールほど、その意味は大きいと思うし、印象に残っているんです。欲を言えば、得点ランキングの上位に入っていける可能性もあったのかなって。ただ、それを除いたとしても重要な試合で点を決めて、なおかつ福田健二さんがつくったスペインでのシーズン10ゴールを超えられたのは、日本人にとって意味があったと思います」

 ヌマンシアやラス・パルマスでプレーした福田健二は、2006-07シーズンに10ゴールを決め、スペインでの日本人シーズン最多ゴールの記録をつくった。岡崎はその記録を13年ぶりに更新したことになる。

「ただ、 ゴールを取るのは重要ですけど、自分のプレースタイルがチームに必要だと感じてもらうのも同じくらい大事だった。ゴール数だけにこだわっていたら今シーズンの活躍はなかったと思います」

 岡崎が記録した12得点は、その数字以上の苦悩やドラマがあったのだ。

「そういった意味では本当にいろいろな経験をしながらの2ケタ得点だったなって思います。前半戦は4点しか取れなくて、でも後半戦は8点取ることができた。序盤に時間がかかっただけ、最後にその苦労が報われたのかなと思いますね」

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