岡崎慎司が明かす、VARで7点取り消しもなぜポジティブでいられたのか (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 そして岡崎は野心に燃えている。失ったものを取り戻し、この場所で証明したいものがあった。

「ここでまた2ケタ取れたら、ヨーロッパの3大リーグで結果を残した選手として認めてもらえるはずだし、自分はそのためにここに来たわけです。岡崎はもう終わったんじゃないかって、そういう流れを崩したい思いがあるんです。あのレスターでの最後の悔しさを払拭して、ここで価値を証明するチャンスがやっと巡ってきた。来季は新たな挑戦、重要な1年になりますね」

 最後にキャリアの晩年を意識する岡崎に、自身のキャリアの終え方を考えることがあるのかを聞いた。

「この年齢になれば1年、1年が勝負。来季も結果が出なければ僕のチャレンジは終わりという意識でやりますよ。一方で、結果を出せたら今度はイタリアで結果を出してみたいと思うかもしれない。そんな気持ちはありますけど、結果が出せなかったらいつでもそこで終わりという崖っぷちでやるのが、今の自分には大切なのかなって思います」

 今の岡崎はどんな状況になっても受け入れる覚悟がある。そのうえで、この濃密な1年はラ・リーガ1部で結果を残すための準備だったのだろう。輝きを取り戻したストライカー・岡崎慎司が、キャリアのすべてをかけて夢の舞台に挑戦する。
(おわり)

岡崎慎司
おかざき・しんじ/1986年4月16日生まれ、兵庫県宝塚市出身。ウエスカ(スペイン)所属のFW。滝川第二高校から05年に清水エスパルス入り。10年から活躍の場をヨーロッパに移し、ドイツ、イングランド、スペインでプレー。レスターではプレミアリーグ優勝を経験した。日本代表国際Aマッチ119試合出場50得点。10年南アフリカ、14年ブラジル、18年ロシアと、W杯3大会に出場している。滝川第二高→清水→シュツトガルト→マインツ(以上ドイツ)→レスター(イングランド)→マラガ→ウエスカ(以上スペイン)

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