2020.07.11

リキ・プッチはバルサの希望。
歴代の名手が持つ決定的能力を備える

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 プッチはバルセロナのカンテラで「偽9番」(CFの位置から中盤に下りてプレーする役割)としてプレーしていた。ただ、同期のなかでは出遅れていて昇格のタイミングも遅い。スペイン代表のアンダー世代での選出もない。遅咲きというより、小さくて軽量すぎるので様子を見ていくしかなかったのだろう。

 才能があるのはたしかだが、それがどのレベルまで通用するのか。1つ1つクリアしていった結果、トップまでたどり着けたのではないか。数値はないので試していくほかないわけだ。それでも20歳でポジションをつかみかかっているのだから、遅くはなかった。

<輝く場所を選ぶ>

 テクニックとインテリジェンスは、バルサの育成方針の核だ。メッシ、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタを生み出してきた。プッチはそのサイズからして、さらにバルサ特有の選手と言える。バルサでなければ、トップチームに昇格することはなかっただろう。

 デビューの仕方が、ジュニーニョ・パウリスタと似ている。

 ジュニーニョの身長は165cm。体格も華奢だった。ブラジル代表のユースではまったくプレーしていない。しかし、1993年に名門サンパウロでデビューしたのが19歳。テレ・サンターナ監督に見出され、レオナルドと中盤でコンビを組んだ。

 95年には国内リーグの MVPに選出され、ブラジル代表としてプレーしたコパ・アメリカでもMVPに選ばれている。ユース時代は脚光を浴びていなかったのに、10代最後でトップに抜擢されるや一気に頂点まで上っていった。

 ジュニーニョはプッチと似ていて狭いスペースでプレーができた。1歩が速く、2歩目以降も速くて加速力があった。96年にはイングランドのミドルズブラに移籍して活躍、翌年プレーしたアトレティコ・マドリードでも中心選手だった。

 ところが、そのピーク時に左足首靱帯断裂の大ケガをしてしまう。98年フランスW杯でプレーできず、アトレティコもトップ下を置かない戦術に変更したためジュニーニョは出番を失った。