2020.07.08

オシムやクライフとは異なるタイプ。
ファーガソンのすごさは観察力だ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

サッカー名将列伝
第5回 アレックス・ファーガソン

革新的な戦術や魅力的なサッカー、無類の勝負強さで、見る者を熱くさせてきた、サッカー界の名将の仕事を紹介する。今回はマンチェスター・ユナイテッドで長く監督を務め、数多くのタイトルを獲得した、アレックス・ファーガソン監督。ルーツのスコットランドの系譜。有能なコーチを使ったマネジャーとしての活躍ぶりを振り返る。

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<スコットランドの系譜>

 アレックス・ファーガソンについては語り尽くされているのではないかと思う。マンチェスター・ユナイテッドで13回のプレミアリーグ優勝、チャンピオンズリーグも2回獲っている。ユナイテッドでは27年におよぶ長期政権だった。

マンチェスター・ユナイテッドで数々のタイトルを獲得したファーガソン監督 1974年に32歳でスコットランドのイーストスターリングシャーの監督になった時は、専門のGKさえおらず、週給40ポンド(当時約2万7000円)という待遇だったそうだ。

 ただ、もうこの時からファーガソンは恐い監督だったという。のちに、「ヘアドライアー・トリートメント」と呼ばれた、選手の髪の毛が逆立つほどの説教が有名になるが、たぶん持って生まれた迫力なのだろう。

 ファーガソンはいつも拳を握りしめて歩いていた。顔つきが柔和な時でも、同じコートを着て、やっぱり拳は握られていた。本人が気づいているかどうかはわからないが、拳を握ったまま歩いている監督なんて、どうしたって恐い。