W杯史に残る名勝負を目撃した、BGMが世界一美しいスタジアム (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyma Shigeki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 そこからセビージャのホーム、ラモン・サンチェス・ピスフアンまでは徒歩わずか10分。スタジアムはまさに街の中心地、繁華街にある。世界広しと言えども、ここまでアクセスに恵まれたスタジアムは珍しい。とりわけ、アウェーサポーターに優しいスタジアムだ。

 82年スペインW杯では、開幕第2戦にあたるブラジル対ソ連と、準決勝、西ドイツ対フランスの2試合で使用された。筆者が観戦したのは準決勝。フランスに3-1とリードされた西ドイツが、ゲルマン魂を発揮し3-3に追いつき、延長PK戦の末、ミシェル・プラティニ率いるフランスを下した、スペインW杯を代表する名勝負である。

 その日は、筆者の誕生日だった。せっかくなので、上級ホテルを探してはみたものの、見つかったのは1泊500円のホスタル(簡易ホテル)。これまで泊まった宿の中で最も安かったあのホスタルはどこ? たしかスタジアムの目の前だったはずだが――。セビージャを再訪した1998-99シーズン、ラモン・サンチェス・ピスフアンを前に、16年前に宿泊した宿を探してみたくなった。

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