異様な殺気、優雅な旅行。アテネで体感したCLのふたつの顔 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 ミランはその前の週にリーグ優勝を決めていた。一週間前からアテネに乗り込み、コンディションを万端に整えていた。その差は歴然だった。試合は開始早々から、ミランの一方的なペースで進んだ。4-0。ミランが大方の予想を覆し、CL優勝を飾った。CL史上、最も点差が開いた決勝戦となった。

 筆者はバルサのリーグ戦優勝の瞬間にも立ち会っていたので、バルササポーターと同じルートで、アテネ入りしていた。

 CL決勝はサポーターにとっても夢舞台だ。しかも舞台はアテネ。欧州屈指の観光名所である。急遽、チャーター便でやってきたバルササポーターはもちろん、ミランサポーターも、決勝戦を控えて旅情を満喫していた。

 一番の人気はエーゲ海クルーズ。エーゲ海には両軍サポーターを乗せたバルサ船、ミラン船があちこちに浮かんでいた。海上ですれ違えば、両軍サポーターは、お互い手を振り、エールを送るように親睦を深めていた。シーズン最終戦を、このアテネの地で迎えることができた喜びを、お互いが噛みしめている様子だった。

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