スポーツが消えた今、欠けているもの。W杯期間中に自殺が減る理由 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 それは、マスクを着けて独りぼっちでスタジアムの観客席に座っている自分の写真。場所はベラルーシ。コロナ禍の中でもヨーロッパで唯一、フットボールのリーグ戦が続いてきた国だ。

 スポーツをもとにしたコミュニティーを、バーチャルな形で維持している人たちもいる。イングランド・プレミアリーグのノリッジ・シティなどの選手たちは、試合のない今、高齢のサポーターとチャットをして、身辺に変わりがないか確認している。

 オークリーによれば、チャットアプリのワッツアップで、彼も参加しているトッテナム・ホットスパーのサポーターのグループでは、書き込みが激増している。たいていのファンは、トッテナムがパッとしなかった今シーズンが事実上終わってくれてよかったと白状しているという。

 これまでソーシャルメディアは、どちらかと言えば"問題"として捉えられることが多かった。だがスポーツファンにとって、そして自らが属するコミュニティーを求める人々にとっては、解決策にもなりうる。

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