ベンゲル対クライフ。26年前、初めてCLを観た驚きのスタジアム (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 それでも筆者は迷った。「確かこのあたりのはずなのに」と周囲をキョロキョロと眺めても、スタジアムらしき建物は見当たらない。「スタジアムはどこですか?」と、さすがに尋ねずにはいられなくなった。すると「そこだよ」との答え。だが、そこにスタジアムらしきものはない。

 目の前に立っていても、それがスタジアムだとはわからないスタジアム。周囲とスタジアムを隔てるエリアが狭いため、スタジアム全体の形をどこからも確認することができないのだ。隣接する建物と色、高さも同じ。しかも外観はビル・マンション風の様式だ。街並みとこれほど同化しているスタジアムも珍しい。

 エントランスをくぐっても、スタジアムであるとの実感は湧いてこない。映画館か劇場かという趣なのだ。その奥に陸上トラックと105m×68mの緑のピッチが広がっていることを想像することは難しい。

 スタンドの収容人員は1万8000人。そう聞けばかなり小さなスタジアムを想像するが、3万人は収容できそうなスペースがありながら、あえて1万8000人ほどに抑えているといった感じで、ひとつひとつの座席はゆったり、広々としている。5つ星ホテルを連想させるリッチさと言うべきか。陸上トラック付きでも視界は良好。快適感を味わうことができる。

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