吉田麻也がセリエAデビュー戦後、サポーターの心をつかんだひと言 (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by LaPresse/AFLO

 この日、吉田はスタメンとしてピッチに立ったが、その風景はいつもの試合とは違っていた。イタリアでは北部を中心に新型コロナウイルスの感染者が急増し、現在は7000人を超えている(3月9日現在)。そのため、すべてのサッカーの試合は無観客で行なわれることになったのだ。せっかくのホームデビューであったにもかかわらず、ピッチに響くのは選手の声とボールを蹴る音だけだった。

 しかし、こうした数々のアクシデントも、吉田はポジティブにとらえている。

「この1カ月は僕にとってはプレシーズンのようだった」

 試合後、サンプドリアがアップしたインタビュー動画で、吉田はそう語っている。

「おかげで今日の試合を十分に準備して迎えることができたし、ほかの選手のこともよく知ることができた」

 たしかにこの日の吉田は、とてもセリエAが初めてとは思えない落ち着いたプレーを見せていた。CBでコンビを組むロレンツォ・トネッリともよく息が合っていた。練習もみっちりできたのか、昨年11月から公式戦に出ていなかったようには見えなかった。

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