久保建英の移籍にもひと役?レアルが「青田買い」に強い理由 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mike Hewitt – FIFA/FIFA via Getty Images

 レアル・マドリードには、そう呼ばれる人物がついているのだ。

 フニ・カラファト。47歳のブラジル人が、レアル・マドリードの海外チーフスカウトとして手腕を発揮している。

 カラファトはチームを作って活動している。世界中のスカウトから上がってくるさまざまな情報のなか、スタッフがプレーを精査。プレービデオで気になった選手を現地で視察し、チーフが判断を下す。できるだけ無名時代からコンタクトをとることで、信頼のアドバンテージを得るのだ。

 いわゆる"青田買い"に違いないが、慧眼と交渉力に優れる。

 カラファトは、ヴィニシウス、ロドリゴ、そしてレイニエルを発掘。ほかにも、ウルグアイ代表フェデ・バルベルデ、ノルウェー代表マルティン・ウーデゴールなどの契約に関わってきた。さらに、日本代表MF久保建英の移籍を巡っても、フィクサー役を務めたひとりだったと言われる。18歳未満の移籍禁止ルールに抵触しないように、誕生日を待って移籍させる手法は今回も同じだ。

 カラファトはまた、ブラジルにおける"レアル・マドリード・ブランド"の強さを活用している。

 過去、レアル・マドリードにはロベルト・カルロス、ロナウド、カカのようなスーパースターが所属し、栄華を誇った。現在も、マルセロ、カゼミーロなどのブラジル代表が主力選手として活躍。そして今やヴィニシウス、ロドリゴが虎視眈々と出番を待っている。

 そんなブラジル人選手の系譜があるのだ。「子供のころから、カカが憧れだった」と、レイニエルも言う。

 もっとも、レイニエルが栄光をつかむのは容易ではないだろう。

 これまでに30人近いブラジル人選手が、レアル・マドリードに在籍してきた。1935年にたった1試合で退団したフェルナンド・ジュディチェッリ以後、ジジ、エバリスト、リカルド・ローシャなど、往年のブラジル代表選手が所属しているが、60年以上も目立った活躍をした例はなかった。1990年代後半から2000年代前半にかけて、ロベルト・カルロス、ロナウドの活躍によって、ようやく流れは変わったのだ。

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