2021.01.06

レアル、バルサ尻目に首位快走のアトレティコ。強さに「華」が加わった

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 ジョアン・フェリックスは、シーズン前半のMVPと言っても過言ではない。昨シーズンはリーガ挑戦1年目で厳しい評価を付けられたが、前を向いてボールを持てるようになったことで、マジックを見せるようになった。ボールのどこを蹴れば、どのように転がり跳ぶのかを、理屈ではなく、感覚的に心得ている。"ボールに愛されている"というのだろうか、一瞬で試合を決められるのだ。アラベス戦でも交代出場後、終了間際にサイドからスアレスの決勝点をアシストした。

 ジョレンテは、まさにシメオネ好みの「incombustible(不燃性。転じて、しぶとく耐久力がある)」と言われる選手だろう。前線にパワーを注入する点では、かつて"空飛ぶ猛牛"と言われたラウール・ガルシアに近いか。

 しかし、ジョレンテは高さだけでなく、陸上の中距離選手のように何度もスプリントを繰り出し、ゴール前に飛び出して得点することができる。アラベス戦でも一気のカウンターからミドル弾を放り込んだが、すでに6得点。相手を突き崩せるだけのパワー、スタミナ、スピードを備えたファイターだ。

 中盤では、伸び悩んでいたコケがようやく本来のプレーを取り戻した。システム変更で、余裕をもってボールを動かせるようになって、そのビジョンやテクニックの持ち味を出せるようになった。プレーメーカーとして、シーズン前半のベストプレーヤーだろう。

 ウィングバック的に起用しているキーラン・トリッピアー、ヤニック・カラスコも天職を得た感がある。高い位置を取って、ぎゅうぎゅうと相手を押し込む。アップダウンする力があり、守りでもゴール前に厚みを加えられる。トリッピアーはサッカー賭博への関与で2カ月半の活動停止処分が出されたが、クラブの訴えで一時保留案件となり、今後は出場できる見込みだ。

◆久保建英がスペインに渡る20年前。アトレティコと契約した日本人少年がいた>>

 もちろん、持ち味である守備の堅固さも変わっていない。

 3バックにしたことで、センターバックの豊富な人材が生きている。ステファン・サビッチ、ホセ・ヒメネス、マリオ・エルモソと、パワーや高さだけでなく、協調関係も構築。セットプレーでは、守りでも攻めでもアドバンテージとなる。