2021.01.06

レアル、バルサ尻目に首位快走のアトレティコ。強さに「華」が加わった

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 2021年1月3日、アトレティコ・マドリードは年明け初戦、アラベスを敵地で1-2と打ち破っている。年末から破竹の4連勝。全20チーム中、試合消化数が一番少ないにもかかわらず、リーガ・エスパニョーラ首位を堅持している。レアル・マドリード、バルセロナのビッグ2を寄せ付けない強さだ。

 今シーズンのアトレティコは、今までとどこか違う。変幻自在の堅守だけではない。攻撃にも「華」がある。監督就任10シーズン目となるディエゴ・シメオネは、とうとう革新に成功したのか――。

就任10シーズン目のディエゴ・シメオネ監督(アトレティコ・マドリード)、2度目のリーガ制覇なるか シメオネ・アトレティコの象徴は、鉄壁のような4-4-2だった。ひとつのブロックが厚い壁として立ちはだかる。そうして相手を辟易とさせた後、猛然とカウンターを繰り出し、あるいはセットプレーでゴールし、勝利に結びつけた。

 しかし、今シーズンは、3バックの採用が必然的な変化につながっている。3-4-2-1、もしくは3-5-2を、起用する選手によってマイナーチェンジ。コケ、ジョアン・フェリックス、トマ・ルマールなど。若干くすぶっていたクリエイティブな選手たちが真価を発揮するようになった。

 システムの運用に関しては、ルイス・スアレスをバルセロナから獲得したことが大きい。スアレスはワールドクラスのゴールゲッターだが、特筆すべきはその戦術的な適応力にある。バルサという特異な戦術を信奉するクラブで、ほとんどの新加入のストライカーは苦しんでいるが、スアレスは滑らかにフィットした。耳かみつき事件など、粗暴な印象があるかもしれないが、サッカーIQの高さが群を抜いているからだ。

 スアレスは1トップで相手のラインを巧妙に押し下げることができる。動きの質が高く、強度も備える。タイミングよくサイドに流れてスペースを作り出せるし、センターバックを釣り出し、消耗させることもできる。そうして背後に陣取るジョアン・フェリックス、マルコス・ジョレンテという2人の力を最大限に引き出しているのだ。