レバンドフスキはバロンドールに値する。ポーランドの名手の系譜 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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<記録ずくめの大活躍>

 ドルトムントに加入した2010-11シーズン、チームはブンデスリーガ優勝。次のシーズンも連覇する。当初はルーカス・バリオス(パラグアイ)に次ぐ二番手の位置づけだったが、2年目からはレギュラーポジションに定着。DFBポカールでゴールを量産して優勝の立役者となり、ドルトムントの"ダブル"に貢献する。

 ユルゲン・クロップ監督(当時)の戦術もレバンドフスキありきになっていった。トップのレバンドフスキへ縦パスを打ち込み、素早くサポートする。たとえ奪われても、サポートの勢いのままプレッシングに移行する。「ゲーゲン・プレッシング」「ストーミング」と呼ばれたインテンシティの高い、攻守がシームレスなプレースタイルである。

 しかし、2014-15シーズンにレバンドフスキがバイエルンへ移籍すると、ドルトムントは一気に下降してしまった。縦パスのターゲットだったレバンドフスキの、キープ力や競り合いの強さがあったから機能していた戦術だったので、ほかのFWで同じ効果は得られなかったわけだ。クロップ監督は、リバプールではロングパスのターゲットをセンターからサイドへ移している。

 バイエルンへ移籍してからの6シーズン、すべてリーグ優勝。もっともレバンドフスキ加入前からバイエルンは連覇しているので8連覇中と国内では敵なしである。昨季は圧倒的な強さでCLも制覇した。得点王5回、ブンデスリーガ通算250ゴールを突破し、11試合連続得点(ブンデスリーガ新記録)の記録もつくった。

 バイエルンでは周囲の強力なバックアップもあり、コンスタントに得点できるのは当然かもしれない。ただ、レバンドフスキの守備面での貢献が戦術的なキーになっているのは見逃せない。ミュラーとともに素早いプレスバックを行ない、バイエルン独特の攻守のリズムを担っている。

 これだけ勝てて、かつ得点もできるのに、守備でもハードワークする。レバンドフスキの徹底的に高みを目指す姿勢は、バイエルンの無慈悲なほどの強さにつながっている。

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