伊東純也が監督交代を機に蘇った。2019年ラストゲームで大暴れ (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO



 この時はゲンクの低迷期と重なっており、チームは1勝1分け3敗と、昨季のリーグ王者らしからぬ成績だった。ゲントに0−2で敗れて9位に沈んだ責任をとり、フェリス・マッズ監督は就任半年も経たず解任されてしまった。

 伊東の調子が再び上がっていったのは、11月中旬にハンネス・ヴォルフ監督が就任してからである。

 マッズ前監督は伊東に対し、守備のタスクをかなり多く課していた。だが、ドイツ人のヴォルフ監督は最低限の規律を求めただけで、伊東は攻撃に重きを置いてプレーできるようになった。今回のオイペン戦でも相手が5バックだったということもあり、ヴォルフ監督は「外に張って相手のウイングバックが上がった裏を突けるようにしておけ」と伊東に指示を出していた。

 蘇ったのは、伊東だけではない。右SBメーレも攻撃への自由がより与えられ、左ウインガーのジョセフ・ペイントシルはレギュラーに固定されて自信が戻ってきた。

「ヴォルフ監督がゲンクに翼を取り戻した」

 サイドアタックが活性化されたゲンクを、『ヘット・ベラング・ファン・リンブルフ』紙はこのように評した。

 ヴォルフ監督の初采配となった第16節ムクロン戦は2−2の引き分けに終わったが、伊東は『ヘット・ベラング・ファン・リンブルフ』紙から採点7をもらい、「伊東は再び、昨季のような相手にとって捕まえづらいアタッカーになった。賢く走り込み、多くのチャンスメーク。ただ、"フィニッシングタッチ(決定力)"に欠けた」と寸評された。

 また、11月27日に行なわれたチャンピオンズリーグのザルツブルク戦では1−4と完敗したものの、伊東はこの試合でも採点7をもらい、『光明。加速度の高い攻め込み。アクションは相手の脅威になった』と記されている。

 ムクロン戦とザルツブルク戦を終えてしばらく経ったあと、『ヘット・ベラング・ファン・リンブルフ』紙は伊東のインタビューを掲載した。

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