吉田麻也が信頼のトレーナー。選手に「バカ受け」施術で世界に挑む (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text & photo by Tajima Kosuke

 足を使うと、手に比べて3~4倍も圧力の違いを生み出せる。さらに、木谷の場合は症状が出ているところだけでなく、身体全体にアプローチを仕掛ける。「選手は最初びっくりしますが、終わったあとにすごくよかったと喜んでくれる」(木谷)と言う。

 木谷はこれまで、数々のプロスポーツ選手の身体を見てきた。日本にいる時は、力士やプロ野球選手の施術も行なった。欧州各国に散らばる日本人サッカー選手も数多くケアしている。

 そのなかで「彼の身体は最強でした」と断言するのが、DFフィルジル・ファン・ダイク(現リバプール)だ。2015-2017年までサウサンプトンに在籍し、現在はリバプールでバロンドール候補にも選ばれたオランダ代表DFを施術し、「僕が触らせてもらった各業界のスポーツ選手のなかで最強です。(記者:力士よりも?)そうです。ファン・ダイクは全然レベルが違います」と、思わず目を丸くしたという。

 そんな充実した日々を送りながらも、木谷はもう一歩前に進もうとしている。吉田を含めてプレミア所属8選手をケアしながら、今年11月にロンドン市内にある日系クリニック「ナチュラル・クリニック」の経営権を取得した。その裏には大きな野望がある。

「クリニックでは英国でも人材を募集しますが、ワーキングホリデーなどを通して、海外で新たに挑戦したい人まで枠を広げたい。トップアスリートを施術しているトレーナーが海外にいて、そこで勉強もできるし、英語も学べる。そういう場所があることを知ってもらいたい。ヨーロッパの人にはできない施術が日本人にはできる。日本人トレーナーが持つ繊細さは、こっちの人に絶対勝てるので。

 将来的には、選手のクライアントを増やしていく方向で考えています。ヨーロッパ中にクライアントがいればいいなと。今後は『僕があの選手の施術に行なって、ナチュラル・クリニックのスタッフが違う選手のケアに行く』という流れができれば。そうなれば、日本サッカー界のためにもなる」

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