PSGに真っ向勝負で4失点。戦略家ビラス・ボアスの旬はもう過ぎた (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 ところが、この試合のビラス・ボアスはいつもどおりのシステムと戦術で真っ向勝負を挑み、為す術なく完敗を喫した。約10年前、戦略家として頭角を現した指導者にしては、あまりにも工夫がなさすぎたと言わざるを得ない。

 かつてはジョゼ・モウリーニョの右腕として修業を積み、独立後にポルト、チェルシー、トッテナム・ホットスパーといった名門クラブを率いた時代は、もう遠い過去の話だ。ロシアのゼニトで監督を務めた後、2016年から2017年まで中国の上海上港で指揮を執り、その後はフリーの状態が続いていたことを考えると、もはやヨーロッパの最前線で指揮を執るだけの能力があるのかどうかは疑わしい。

 現在、師匠のモウリーニョでさえ解説業に専念して過去の人となりつつあるだけに、なおさらその手腕に疑いの目が向けられるのも当然と言えるだろう。

 少なくとも、マルセイエーズ(マルセイユのサポーター)が「ル・クラスィク」で完膚なきまでに叩きのめされたチームを温かく受け入れるとは思えない。だとすれば......。

 10月30日に予定されるリーグカップのモナコ戦を挟み、リール、リヨンという強豪との対戦が続くリーグ・アンの戦いをいかにして乗り切るか。今季からマルセイユを率いるビラス・ボアスの進退は、11月中旬に何らかの結論が出される可能性は高い。

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