バイエルン&ドイツ代表を「結果の出るニュースター」がけん引する (3ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

 ベンゲルは、ニャブリが「ウェスト・ブロムウィッチで自信を失い、酷い状態でアーセナルに戻ってきた」ことを認めており、リオ五輪代表への参加を決めたニャブリは、自身の決断が正しかったことを証明したのだった。

 ブレーメンで過ごした2016-17シーズンの1年間で、27試合に出場、11得点2アシストの活躍。ドイツA代表にも招集され、推定市場価値は、加入前の250万ユーロから、1500万ユーロ(約18億円)と6倍に膨れ上がった。シーズン終了後、バイエルンは"約束どおり"800万ユーロ(約9億6000万ユーロ)でニャブリを買い取り、すぐさまホッフェンハイムに1年間のレンタルで放出した。

 この移籍には、ニャブリの意向も反映されている。「ブレーメンでホッフェンハイムと対戦した時に、ボコボコにされたんだ。その時の攻撃的なスタイルが好きになって、一度ユリアン・ナーゲルスマン監督の下でプレーしたかったんだ」と振り返る。ドイツメディアの『ドイチェ・ヴェレ』で、ニャブリは現在バイエルンのライバルであるライプツィヒを率いる指揮官を絶賛する。

「常に学習し、自分の成長を感じることができた。ナーゲルスマンの戦術には、将来的に自分のプレーがよくなるために身に着けておきたい要素がたくさん含まれていたんだ」と、ホッフェンハイムでの1年が現在の活躍の布石になったことを明かした。

 ナーゲルスマン監督自身も、ニャブリの貪欲に学ぶ姿勢を評価する。

「彼にポジショニングやスペースを使うタイミングを習得させるために、多くの時間を費やした。『どこに立たないといけないのか』『できるだけ早くゴール前に行くためには、どのタイミングでDFラインの裏に抜け出すのか』といったことだ。ニャブリにとって、フォワードやウイング、ウイングバックの3つのポジションでプレーしたことは、成長の大きな礎となったはずだ。オフ・ザ・ボールの動きが似ているポジションなら、複数のポジションをできる自信を身に着けたんだ」

 ナーゲルスマンがニャブリを高く評価すれば、バイエルンのウイングとしてチームを引っ張り続けた元オランダ代表のアリエン・ロッベンも称賛を惜しまない。ニャブリの練習熱心な姿勢を手放しで称賛し、10歳以上の年の差にもかかわらず"友人"と呼び、「真のプロフェッショナル」と評価していた。

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