オランダサッカー復権の予感。2020年ユーロ出場に向けて大きく前進 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 10月10日の北アイルランド戦を前に、オランダ代表のロナルド・クーマン監督は、練習が今ひとつピリッとしなかったことを明かした。移籍先で格闘する選手たちのメンタルや、ここ数年で急に増えたハイレベルな試合による疲労の蓄積など、さまざまな要因がそこにはあるのだろう。

 だが、どんなに所属クラブで苦しんでいても、今のオランダ代表には変わらぬものがひとつある。それは、「最後に勝つのはオランダだ」という、まるでかつてのドイツ代表のような勝者の精神だ。

 ここ2年のオランダは、「今日は勝てないだろう」「今日は負けたな」というような展開でも、劇的なゴールで勝ったり、貴重な勝ち点1を得たりしてきた。9月のドイツ戦も前半はいいところなく、0−1のビハインドで折り返したものの、終わってみればアウェーの地で4−2という歴史に残る快勝を収めていた。

 今回の北アイルランド戦も、そんなゲームだった。前半はドイツ戦を研究されたのか、MFマルテン・デ・ローンや右SBデンゼル・ダンフリースがフリーマン(ボールの処理をしていない選手)になる形を作られた。「オランダの頭脳」F・デ・ヨングにマンツーマンでマークがついたうえに、CBコンビのデ・リフトとファン・ダイクにも厳しいチェックが入り、前線にボールを供給できなかった。

 後半はスペースが生まれて、オランダもようやく攻勢に出る。だが、75分にデ・リフトと左SBデイリー・ブリントが続けてクロスの処理を誤ってしまい、北アイルランドに1点を先制されてしまった。

 0−0の段階でMFドニー・ファン・デ・ベークとFWドニエル・マレンを投入する「プランB」の2枚替えを予定していたロナルド・クーマン監督だったが、この失点によって78分にL・デ・ヨングもスーパーサブとして前線に送る「プランC」を敢行した。

 この「プランB」と「プランC」の合わせ技によって、オランダは4、5人が敵陣ペナルティエリアになだれ込む攻撃サッカーを展開。結果、81分にメンフィス・デパイ、91分にL・デ・ヨング、94分に再びデパイと、3点を一気に連取してしっかり勝ち切った。

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