オランダサッカー復権の予感。
2020年ユーロ出場に向けて大きく前進

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 5月にアヤックスがチャンピオンズリーグ(CL)でベスト4まで進出し、6月にオランダ代表がネーションズリーグで準優勝を果たした。DFフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)はFIFAFが選ぶ年間最優秀選手3人にノミネートされ、MFフレンキー・デ・ヨング(アヤックス→バルセロナ)とDFマタイス・デ・リフト(アヤックス→ユベントス)はビッグクラブへのステップアップを果たした。

北アイルランド戦で2ゴールを決めたメンフィス・デパイ北アイルランド戦で2ゴールを決めたメンフィス・デパイ さらに、今季はオランダリーグ勢がCLとヨーロッパリーグ(EL)でコツコツとポイントを貯め、欧州リーグランキングの単年度成績では1位を獲得。CL・EL出場枠を決める5年間の総合ランキングでは暫定9位と、念願のトップ10に返り咲きを果たせそうな勢いだ。

 オランダサッカーが暗黒時代を抜け出しつつあるのは、間違いないところ。しかし、同時に「産みの苦しみ」も味わっている。それは、選手の評価が上がったことで高いレベルのクラブに移籍しやすくなった反面、そこで実力を発揮するのに時間がかかる問題だ。

 デ・リフトはユベントスで失点に絡むことが何度かあり、F・デ・ヨングはレギュラーとはいえまだ本領を発揮しているとは言いがたい。選手個人のことだけを見れば仕方のない面もあるが、代表チームが現在進行形で試合を重ねているなか、それでは困ることでもある。

 また、FWルーク・デ・ヨング(PSV→セビージャ)は昨季、ドゥシャン・タディッチ(アヤックス)と得点王を分け合ったのに、今季スペインリーグではノーゴールだ。ドイツやイングランドでうまくいかず、オランダに戻ってきてPSVで再度実力アップを図り、満を持してスペインリーグへ飛び込んだが、それでも異国でプレーすることは簡単ではない。

 F・デ・ヨングはセビージャとのナイトゲームをプレーしてからオランダ代表に合流したため、疲労の色が濃かった。バルセロナとアムステルダムの飛行時間は2時間ほど。それでも、代表とクラブの掛け持ちは、アヤックス時代より負荷が高いのだと言う。いずれ移動にも慣れるだろうが、今は環境の変化に戸惑いがあってもおかしくはない。

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