堂安律の序列が上がった!初ゴールを決められた3つのポイント (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 そして72分、ついにPSV入団後初めてのゴールが生まれる。得意の右45度から相手GKのポジショニングをよく確認し、低く押さえたシュートを落ち着いてファーサイドに流し込んだ。

「前半はベンチから見ていて、『スペースがあるから、もっと打ったらいいのになあ』と思ったシーンがあった。だから今日は最初から、ああいうシュートをどんどん狙っていた。それを後半にいかせてよかった。あの角度でボールをもらえれば、確実に決める自信はあります」

 このゴールシーンには、堂安にとって3つの重要なポイントがあった。

 ひとつ目は、右サイドバックのデンゼル・ダンフリースとの連係だ。このゴールシーンは右サイドのビルドアップが起点になったが、そのタッチライン際の狭いエリアで堂安がボールを引き、ヒールでダンフリースへパスを出したことで彼に飛び出しを促した。結果、ダンフリースの飛び出しによってPSVの攻撃にスイッチが入った。

 細かなテクニックという点では物足りないが、ダンフリースはアスリート能力とフィジカル能力が極めて高い。スプリント力を生かしてスペースに走り込んだり、相手に身体をぶつけて強引に縦に進んだりする迫力を持つ。だが、その特徴を生かすプレーヤーがPSVには乏しかった。

「堂安はボールキープ力が高く、味方を生かすプレーもできるので、ダンフリースの動きがズヴォレ戦の後半から非常によくなった」(ファン・ボメル監督)

 ふたつ目は、堂安が「PSVのカウボーイ」の一角として、迫力のある攻撃に加わることができたことだ。ダンフリースから左に振られたボールは、ふたりの選手を経由してからFWステーフェン・ベルフワイン→MFモハメド・イハターレン→FWドニエル・マレン→ベルフワイン→堂安とつながってゴールになった。

 ベルフワイン、イハターレン、マレン、ブルマ(もしくはFWコーディ・ガクポ)が絡み合う4人の攻撃は、アヤックスのエリック・テン・ハーフ監督が「PSVは6人のブロックを作り、4人のカウボーイで攻撃を仕掛けてくる」と描写したことで、「カウボーイ」という呼び名がオランダで定着した。堂安は「カウボーイ」の一員として、ベルフワイン、イハターレン、マレンと阿吽の呼吸を見せ、高速カウンターの仕留め役となった。

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