2019.09.24

競争激化のPSV。堂安律が「カウボーイ」に
なるために必要なストーリー

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

『デ・トッパー』と呼ばれるPSV対アヤックスを翌日に控え、アヤックスのエリック・テン・ハーフ監督は「PSVは6人でブロックを作り、『4人のカウボーイ』で攻撃を仕掛けてくる」と語った。

 今季のPSVは、中盤の創造力とチーム全体の守備力に欠点を抱えている。しかし、21歳のFWステーフェン・ベルフワイン、20歳のFWドニエル・マレン、17歳のMFモハメド・イハターレン、24歳のFWブルマ(あるいは20歳のFWコーディ・ガクポ)によるカウボーイたちの迫力ある攻撃は、チームの弱点をカモフラージュするだけのクオリティを備えている。

アヤックス戦で堂安律に出場機会は訪れなかった 9月22日に行なわれた『デ・トッパー』は、38分にアヤックスがPSVの守備を崩しきってクインシー・プロメスがフリーでボレーを打つなど、とくに前半は試合の主導権を握っているように見えた。だが、PSVも2本、3本のシンプルなパスをつないだだけで「4人のカウボーイ」がアヤックスのゴール前に襲いかかり、得点まであとひと息のところまで迫った。

 0-0の均衡を破ったのは63分、アヤックスのほうだった。ドゥシャン・タディッチがゴール前の密集地でマーカーを外してギャップを作り、最後はプロメスが冷静にゴール左隅にシュートを決めた。

「アヤックスにゴールを許し、何かを変える必要があった」。そう判断したPSVのマルク・ファン・ボメル監督は、76分に一気に2枚替えを実行する。

 なかでも、中盤をコントロースするヨリト・ヘンドリクスに代えてガクポを投入し、「5人のカウボーイ」にしたのは効いた。ガクポはピッチに入ってから1分後、アヤックス守備陣の背後に絶妙のスルーパスを送り、マレンの同点ゴールをアシストしたのだ。

 1-1になった直後はアヤックスが少しパニックになったものの、やがて試合は落ち着きを取り戻し、両チームの我慢比べとなった。PSVはあと1枚、アヤックスはあと2枚、交代のカードを残していた。だが、「先に動いたら、やられる」という雰囲気を察知し、両チームの指揮官は動けなくなってしまった。