長谷部誠がドルトムント戦で存在感。鎌田大地の幻ゴールを気にかける (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「試合の中で波があるというのが、修正しなきゃいけないところだとは思います。今日はローテーションでいろいろな選手が出たので、チーム内の競争が激しくなると思うので、それはそれでよかった」

 長谷場は自分のプレーだけでなく、チーム全体の出来に気を配ってコメントする。日本代表で主将をつとめていた時代からもそうだったが、今季はそんな傾向がより鮮明になっているように見える。

 長谷部があえて言及したのはフランクフルトの2点目だった。

「あれ、(鎌田)大地のゴールになるんですかね?」

 88分、ティモシー・チャンドラーの右からのサイドチェンジを、マルティン・ヒンターエッガーが折り返すと、ファーサイドで鎌田大地が右足ダイレクトで合わせた。このシュートはドルトムントのトマス・デラネイに当たってゴールに吸い込まれたが、場内アナウンスは鎌田のゴールとした。一見してオウンゴールとわかるシーンではあったが、ホームのアナウンスは場内を盛り上げることを目的としたのかもしれない。

 それでも長谷部は、なによりそのことを気にかけていた。一番身近な後輩への評価は気になるところなのだろう。鎌田自身は「僕のゴールじゃなくなりましたけど、ゴールに近づけていると思う」と、手応えを語っている。

 昨季は終盤に失速したフランクフルトだったが、今季も面白い戦いを見せてくれそうだ。メンバーが変わり、チームが若返るなかで、長谷部はより存在感を発揮している。日本代表引退を表明し、「純粋に一選手としての価値を問われる1年」と位置付けたのが昨季だったが、今季はそこにどんなテーマが加わっているのだろうか。

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