レアル下部組織の監督が中井卓大に期待。
「上に行ける可能性がある」

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

カデーテAのトゥリスタン・ロドリゲス監督 photo by Kurita ShimeiカデーテAのトゥリスタン・ロドリゲス監督 photo by Kurita Shimei――以前はスペインの育成といえば、アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)らを輩出したバルセロナという印象も強かったですが、近年ではレアルのカンテラ出身の選手が世界中のリーグで活躍しています。この変化をどう捉えていますか?

「レアルに限らず、セルタ、セビージャ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、アトレティコ・マドリードの育成は非常に伸びているね。これは下部組織の国内での成績を見ればはっきりしているよ。バルセロナがひとつの時代を作り、その時代が幕を閉じようとしているのかもしれない。フットボールの隆盛というのは常に時代と共に移ろうもの。またバルセロナの時代になる可能性もあるし、どのチームのカンテラからフェノーメノ(怪物)が出てきてもおかしくないよ」

――ここ数年で、レアルのカンテラの育成方針が変わった点などはありますか?

「レアルに関しては、クラブの育成理念は昔から変わっていない。ヨーロッパ1部リーグのクラブにはレアルの下部組織出身の選手が多く、活躍もしている理由をひと言で説明するのは難しいが、やはり競争力が世界一であることが挙げられるだろう。レアルの哲学というのは、昔から『できるだけ少ないタッチで、できるだけ速くゴールまでボールを運ぶ』ということ。そのスピードに慣れた選手は、どこのリーグや国でも適応できる土壌を持っているんだ」

――乾貴士(エイバル)が台頭するまで、日本人にとってリーガ・エスパニョーラは"鬼門"になっていました。トゥリスタン監督は日本で子供たちを指導する機会もありますが、育成の段階から改善するべき点があるのでしょうか。

「繰り返しになるが、どんな練習をしているか教えてもらいたいくらい、技術面を向上させることは本当にすばらしい。しかし中には、その技術を試合のどこで使うかを正しく理解していない選手もいるように感じる。私が日本で指導をする時には、ドリブルが好きな子供が多く見受けられるね。ドリブルは局面を打開する大きな武器ではあるけど、ボールがひとつの場所に留まるということは、相手にチャンスを与えるのと同じだということも理解しないといけない。

 小さい頃から正しい指導を受け、選手が本質を理解しないと改善は難しいだろうね。より少ないタッチでゴールに迫ることが要求されるスペインに来て戸惑うJリーグの選手が多いのは、そういった戦術面やフットボールへの理解の部分が大きいと思う。乾は日本人の特長である献身性と、自ら仕掛ける技術と判断力を兼ね備えているが、そういった選手がもっと育ってきてほしいね」

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