2019.09.09

ネイマールに襲いかかる逆風。
パリ市民との関係修復は可能なのか?

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 今夏の移籍マーケットで最大のトピックスとなったネイマールのバルセロナ復帰騒動は、パリ・サンジェルマン(PSG)残留という大方の予想を覆す格好で幕を閉じた。だが、フランス国内では、まだその騒動が収まりそうな気配はない。

ネイマールの希望は叶わず、バルセロナへの復帰はご破算となった 2億2000万ユーロ(約262億円)という法外な移籍金によって三顧の礼で迎えられ、これまで特別待遇を受けてきたにもかかわらず、自ら移籍希望を申し出たのだから当然だ。ネイマールのPSGに対する裏切り行為を、クラブ首脳陣やサポーターがすぐに忘れることはないだろう。

 しかも当の本人は、バルサ移籍を断念するやいなや、逆風が吹き荒れるパリから逃げるようにマイアミに直行し、ブラジル代表のカナリア色のユニフォームを着てコロンビア戦に出場。5月11日のアンジェ戦以来の実戦復帰を果たすと、1ゴール1アシストの活躍を見せたのだから、もはやパリジャンの怒りが収まるはずもない。

 果たして、ネイマールとパリの関係は修復可能なのか? ネイマール残留が決まった今、最大の焦点はそこになる。

 問題解決に向けた最大の懸念は、今回の騒動が白日の下にさらされてしまっていることだ。

 これにより、バルサ復帰をあきらめてPSGに残る意志を固めたネイマールにとっても、結果的に選手の希望を叶えなかったことでヒール役の印象がつきまとうクラブにとっても、イメージ挽回は容易ではなくなった。

 まず、強い逆風にさらされながらのプレーを強いられるネイマールが心配だ。

 その移籍金は異常だとしても、プレーヤーとしてのネイマールは、少なくともピッチの上ではクリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシという2大スターの後継者にふさわしい、傑出した才能の持ち主であることは誰もが認めるところ。

 PSGでは2年連続でシーズンの約半分しか稼働していないにせよ、公式戦58試合で51得点を記録。とくにチャンピオンズリーグ(CL)王者リバプールをホームで撃破した昨年11月28日の試合では、PSGが悲願達成の切り札を手にするために、清水の舞台から飛び降りたことを納得させるだけの輝きを放ち、特別なプレーヤーであることをあらためて証明してみせた。