ジダンを悩ますレアルのリアルな実情。守備崩壊で選手も固定できない (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 欧州3連覇を勝ち取ったジネディーヌ・ジダン監督が再任したものの、現状は勝利の形をつかめていない。そもそも、最強を誇った当時も、守備は"人海戦術"に近く、ポゼッションで不利に立つこともしばしばで、戦術的な未熟さは指摘されていた。それでも、ロナウドが一発を叩き込み、戦いを成立させていたのだ。

 もっとも、今回のスタートの出遅れに関しては、弁解の余地があるだろう。

 なにしろ人の出入りが激しすぎる。マルコス・ジョレンテ、セルヒオ・レギロン、ダニ・セバージョス、ヘスス・バジェホなどを放出。他にもガレス・ベイルは完全に構想外なのだが、現時点で売却できていない。ハメス・ロドリゲスの処遇も宙ぶらりんのままだ。一方でエデン・アザール、ルカ・ヨビッチ、エデル・ミリトン、ロドリゴ・ゴエス、久保建英らを獲得したが、本命のポール・ポグバは交渉が長引いている。その間、右サイドの主力候補だったマルコ・アセンシオが前十字靭帯断裂で、来春まで復帰は絶望的になった。

 システムも4-3-3が基本と言われるが、4-2-3-1、4-4-2になる可能性もある。選手が定まらないだけに、確定できないのだ。4-3-3で挑んだアトレティコ戦は守備が総崩れになり、4-4-2にしたトッテナム戦も蹂躙されていた。4試合で13失点の守備は改善が急務。とくにセルヒオ・ラモス、マルセロの2人のプレーの質の低下は著しく、不安が募る。

 それでもマドリードでは、あらゆる不具合がPEGADAと結びつけて考えられる。

「新シーズン、レアル・マドリードはゴール不足の問題を解決したか?」

 スペイン大手スポーツ紙『MARCA』のWebサイトはそんなアンケートを行なったが、90%近い人が「ノー」と答えている。

 トッテナム戦までのプレシーズンマッチ4試合で、FW陣ではカリム・ベンゼマがPKの1得点、ヨビッチは無得点。ベンゼマは昨シーズン、リーガで得点ランク2位、ヨビッチもブンデスリーガで3位だった。3番手のマリアーノ・ディアスも、一昨シーズンはフランスリーグで18得点を記録しており、3人とも実力者と言える。とくにベンゼマは前線でのプレーメイキングの点で、その存在は欠かせない。

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