2019.08.01

柴崎岳、岡崎慎司が戦うスペイン2部は、
天国と地獄が隣り合わせ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Quality Sport Images/AFLO

「INFIERNO」(地獄)

 スペイン2部リーグは、しばしばそう表現される。お互いなりふり構わず争い、どうにか這い上がって「天国」である1部リーグにたどり着けるか。その様子は、鬼気迫るものがある。

プレシーズンマッチに出場した柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ) 2部と言っても、1部の下位クラブと比較して実力的にほとんど差はない。拮抗した勝負が繰り広げられ、気を抜けば底なしに落ちる。事実、今シーズン、2部から1部に戻ってきたマジョルカは、数年前までチャンピオンズリーグで躍進していたにもかかわらず、一昨シーズンまでは2部B(実質3部)に落ちていた。

 天国の隣に地獄の口が開いている。

 今夏、日本代表MF柴崎岳が移籍した2部のデポルティーボ・ラ・コルーニャも、2000年には1部で優勝を果たしている。2000年代、デポルはスペイン代表フアン・カルロス・バレロン、ブラジル代表マウロ・シルバ、オランダ代表ロイ・マカーイらを擁し、欧州の強豪を次々と撃破。2003-04シーズンには、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝で、当時最強を誇ったミランを大逆転で破った。しかし徐々に力を失い、今や1部と2部を行きかう状態だ。昨シーズンは1部昇格プレーオフに進出したが、決勝で敗れている。

 スペイン2部の戦いは苛烈を極める。そのレベルはオランダ、ベルギー、ギリシャ、オーストリア、スイスなどの欧州中堅の1部リーグに匹敵、もしくは上回るだろう。実際、スペインで無名の選手が中堅国のリーグで活躍することはままある。たとえば、スペイン1部では鳴かず飛ばずだったホナタン・ソリアーノは、オーストリアで3年連続の得点王に輝いている。

 しかし「地獄」と言われる所以は、その競争のし烈さだけではない。

 スペイン2部の環境は、実に厳しいものがある。

「2部時代は長時間のバス移動が当たり前。選手みんなでコーラを分け合って飲んで、それはそれで楽しかった」

 2部から1部に上がったクラブのベテラン選手が感慨深げに語っていたことがある。高額の放映権料などが見込める1部と違い、2部クラブの資金繰りは苦しい。必然的に選手の年俸も抑えられる。