遠藤航のみシント・トロイデン残留。
難しい中で高まる鈴木優磨への期待

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 ベルギーリーグの華は「プレーオフ1」にある。

 上位6チームによる優勝争いと、チャンピオンズリーグ&ヨーロッパリーグの出場権をかけた短期リーグ戦は、どの試合もビッグゲームだ。プレーオフ制に対する反対の声も大きいが、メディアやファンの注目度の高さや、スタジアムの白熱した雰囲気が勝ってしまい、それにあおられるように選手たちもインテンシティの高いプレーを繰り返す。もはや、レギュラーシーズンはプレーオフ1の出場権をかけた予選ではないだろうか、と感じることさえある。

シント・トロイデンで2シーズン目を迎えた遠藤航シント・トロイデンで2シーズン目を迎えた遠藤航 シント・トロイデンはレギュラーシーズン最終日まで、プレーオフ1の出場権をかけて争っていた。しかし、最後の最後でゲントとの直接対決に敗れてしまって涙を飲んだ。

 それでも、シント・トロイデンのサッカーはファンを魅了し、高く評価された。多くの主力選手の価値が上がり、チームを去っていったのは当然のことだろう。

 冬の移籍市場ではDFキャスパー・デ・ノーレ(ゲンク)、MFロマン・ベズス(ゲント)、この夏の移籍市場では日本人DF冨安健洋(ボローニャ)、MFアレクシス・デ・サール(アントワープ)、FWクリスティアン・セバージョス(アル・ワクラ)がシント・トロイデンを"卒業"していった。また、フランクフルトに戻っていったFW鎌田大地に関しては、「ジェノア移籍濃厚」との報道が出ていた。

 一方、補強はあまり進んでいない。7月27日にシント・トロイデンは今季開幕戦を迎えたが、0−1でムスクロンに敗れてしまった。

 シント・トロイデンにとっては、多くの課題が噴出した試合だった。鎌田の得点力(昨季15ゴール)やベズスの創造力の穴を埋めること、そして薄くなった選手層を解決することが直近の課題となるだろう。マーク・ブレイス監督も、サポーターも、地元メディアも、「補強によってチームにクオリティの注入を!」と声高に要求している。

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