2019.07.30

なぜ久保建英はこれほど早く
レアルで適応できているのか?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 レアル・マドリードに入団後、北米ツアーに参加した久保建英は、着実に試合出場時間を重ねている。

 バイエルン戦では、鮮烈なスルーパスで、色眼鏡で見ていた感もあるファンのど肝を抜いた。タイミングをずらして2人を置き去りにするドリブルも出色だった。3-7で大敗したアトレティコ・マドリード戦でも、短い時間の出場ながら、目覚ましいシュートでチャンスを広げた。

「このチームに何年もいる選手のようだ」

 レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督が久保建英に対して送ったメッセージは、最高の賛辞と言えるだろう。現状での最大の評価であるのと同時に、将来の可能性を示唆している。

アトレティコ・マドリード戦に62分から出場した久保建英 なぜ久保はこれほどまでに早く世界王者クラブで適応できているのか。

「語学力を含めたコミュニケーション能力」が頼もしい味方になっているのは、間違いないだろう。

 久保のスペイン語の能力は非常に高い。語彙力の豊富さについては不明ではあるものの、発音や文章構成力は舌を巻くほど。日本人としては図抜けている。スペインメディアの取材も直接受けており、その流暢さはネイティブ同然だ。

 ドイツ、オランダ、ベルギーなどのリーグでは、多くの日本人選手が、現地の言葉を話せなくても成功をつかんでいる。日本人のよさである勤勉さや献身性が尊ばれるため、立場が与えられているのだろう。そこから派生した行動やプレーも、正しく(日本にいたときと同じように)評価されるのだ。

 ところが、スペイン、イタリア、フランス、南米では、選手たちに即興性や自己表現力を求める。物事に即座に対応し、話ができないような選手に対し、残酷なまでにリスペクトが与えられない。つまり、どれだけ真面目でも、周囲から一目置かれないのである。

 過去にスペインでプレーした日本人選手たちも、言葉の問題を抱え、やがて孤立した。現地の番記者にも呆れられ、嘲笑される場面さえあった。選手同士の付き合いをせず、自宅に戻って日本のドラマを見て、ゲームをしているような選手は軽視される。