チェルシーが抱える最急務課題。「ポスト・アザール」は見つかったか (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 まずこのバルサ戦で、ランパード監督は川崎戦から4枚を変更。中3日で行なわれたプレシーズンマッチであることを考えれば、もっと多くの変更があっても不思議ではなかった。しかし、そうしなかったことを考えると、すでにランパード監督の頭のなかに今シーズンの主軸が固まりつつあると受け止めることもできる。

 たとえば、GKケパ・アリサバラガ、右SBセサル・アスピリクエタ、CBダヴィド・ルイス、ダブルボランチのジョルジーニョとマテオ・コヴァチッチ、右ウイングのペドロの6人は、2試合連続でスタメン出場を果たした。彼らはいずれも、サッリ前監督が率いた昨シーズンのチームでも主軸を担った面々である。

 彼らに加え、現在故障中のCBアントニオ・リュディガー、コパ・アメリカ出場の影響で合流が遅れているウイングのウィリアン、そしてリハビリのために離日したMFエンゴロ・カンテが復帰すれば、今シーズンのおおよその陣容は見えてくる。

 もっとも、絶対的存在のカンテが4−2−3−1のダブルボランチの一角に加われば、コヴァチッチが一列前でプレーする可能性もあるだろう。むしろ、サッリ前監督が貫いた布陣で、ランパード監督が昨シーズンのダービー・カウンティでも4−2−3−1と併用した布陣でもある4−3−3を採用し、中盤をジョルジーニョ、カンテ、コヴァチッチのトリオで構成する可能性のほうが高いと思われる。

 いずれにしても、最終ラインと中盤は昨シーズンを踏襲する形で構成すると見られるだけに、残る問題は、ランパード監督が頭を悩ませる前線の構成になる。つまり、アザールの抜けた穴をいかに埋めるかだ。

 そこで浮上してくるのが、このバルサ戦でスタメン出場を果たしたクリスチャン・プリシッチの存在である。

 補強禁止処分中(※)により、それほど多くの選択肢を持たないチェルシーにとって、今年の冬にドルトムントから獲得し、シーズン後半戦はローンという格好でそのままドイツに残ってプレーしたプリシッチは、新シーズンに向けた唯一の新戦力。20歳という若さにもかかわらず、これまで17歳でデビューしたブンデスリーガ、そして31キャップを数えるアメリカ代表で豊富な実戦経験を持つだけに、「ポスト・アザール」の第一候補と目されるのも当然だろう。

※18歳未満の選手の国際移籍に関する規定に違反したとして、今年2月にFIFAの規律委員会がチェルシーに補強禁止の処分を言い渡した。2019年夏と2020年冬の移籍市場で新規の選手登録が禁じられ、チェルシーが次に新たな選手を獲得できるのは2020年夏となる。

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