チェルシーが抱える最急務課題。「ポスト・アザール」は見つかったか
川崎フロンターレとのプレシーズンマッチから中3日。フランク・ランパード新監督率いる新生チェルシーは埼玉スタジアムでバルセロナと対戦し、タミー・エイブラハムとロス・バークリーのゴールによって、2−1で勝利を収めた。
バルセロナ戦に出場した20歳のクリスチャン・プリシッチ「トレーニングを含め、これまで積み重ねてきた成果という点で、とてもいい試合ができた。とくに今日の試合では改善した部分が見られた」とは、試合後に満足げに振り返った新指揮官のコメント。たしかにチャンピオンズリーグで対戦するかもしれない相手に対して、チェルシーがこの試合で見せたパフォーマンスは及第点の出来だった。指揮官も、それなりの手応えを感じたに違いない。
とはいえ、試合2日前に来日したばかりのバルサとのコンディション差を考慮すれば、この日の試合内容を額面どおりに受け止めてはいないはず。8月12日に開幕戦を迎えるチェルシーと、翌週16日に開幕戦を戦うバルサとでは、調整スケジュールの違いがあって当然のこと。そんななかでリオネル・メッシ、ルイス・スアレス不在という「飛車角落ち」のバルサに、プレシーズンマッチで勝利したからといって、それを手放しで喜ぶはずもない。
4日前の川崎戦同様、「まだテストの段階」と繰り返し口にしたランパード監督にとって、プレシーズンにおける最大の目的は、誰をどのポジションに配置して新シーズンを迎えるか――という点にある。
とりわけ、今シーズンのチェルシーにとっての最大の注目は、レアル・マドリードに移籍した大黒柱エデン・アザールの抜けた穴をどのようにして埋めるのかという点と、プレミアリーグ3位とヨーロッパリーグ優勝に導いた戦術家マウリツィオ・サッリ(現ユベントス監督)が植えつけたサッカーを、監督経験の浅いランパードがどのように変化させるのか、という2点に絞られる。
その意味においては、日本で戦ったこの2試合で、新生チェルシーが描く青写真がおぼろげながら見えてきたと言えるだろう。
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