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ど派手補強のレアル。ロナウドの
穴を埋めると同時に怒涛の放出ラッシュ (4ページ目)

  • 江間慎一郎●文 text by Ema Shinichiro
  • ムツ・カワモリ●撮影 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 レアル・マドリードは、刷新とまではいかないまでも、しかしながら大きな変化を加えて今季に臨むことになる。ジダン監督が最初に解決しなければならない問題は、明確である。それは1シーズンにつき50ゴール前後を約束してくれた存在、ロナウドの穴を今度こそ埋めること。ロナウドが在籍した最終シーズンの公式戦得点率が1試合平均2.38得点(62試合148得点)であったのに対して、昨季は1.89得点(57試合108得点)まで落ち込んだ。まさに彼がいない分だけ、ゴールが足りない状況がそこにはあった。

 その観点からすれば、今夏の補強方針はわかりやすい。ベンゼマのスペースメイク力を生かしながら、縦への推進力と決定力を併せ持つアザールがネットを揺らす場面は容易に想像可能だ。ベンゼマのバックアッパーとして加えられたヨヴィッチも得点力の増加に一役買うだろうし、ルカ・モドリッチが昨季4得点、トニ・クロースが1得点とパンチが欠けた中盤に、昨季16得点を決めたポグバを加えたい考えも理解できる。以上の得点力の改善ほか、昨季のレアル・マドリードはアヤックスに15キロも走り負けたデータがあるように、ワールドカップの疲労が残ったモドリッチをはじめフィジカル的な脆弱さが目立った。ポグバ獲得の動きはそうしたことを加味し、中盤にさらなるダイナミズムを加える意図もあるのだろう。

 兎にも角にも、プレシーズンマッチすら戦っていない現状では、レアル・マドリードがどのような顔つきで今季に立ち向かっていくのかは、まだ不透明である。たしかなのは、彼らが今すぐに、再び「最強」を目指さなくてはならないということだ。たとえ心機一転で新たなスタートを切るとしても、「ア・ポル・ラ・デシモクアルタ!」の欲求に小休止など存在しない。どんな状況にあっても、1試合目で勝てなければサプライズ、2試合目でつまずけば大スランプ、3試合目で敗れようものならばクライシス突入......。それがフロレンティーノ"先生"の口癖である「世界で最も厳しい要求を課されるクラブ」を取り巻く環境なのだから。

 レアル・マドリードの、今、この時だけの黄金の瞬間を手にする挑戦が、また始まる。

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