コパ・アメリカの小ネタ満載。
「日本参戦」批判には裏事情もあった

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 8強が出揃ったコパ・アメリカ。グループリーグの期間中、ブラジルで話題になったピッチ内外のエピソードの数々をお届けしよう。

ブラジル代表に新たな火種

 今、ブラジルで問題視されているのが、代表監督チッチの息子マテウスだ。彼はつい最近ブラジル代表コーチのナンバー3の座に昇格した。エドゥが古巣アーセナルのゼネラルディレクターに引き抜かれ、チッチの右腕でオリンピックチーム監督でもあったシルヴィーニョが来季からリヨンの監督になるため、その後を継ぐ形の抜擢だ。しかし、選手としても指導者としてもほとんど何の経験もない彼がこのポストに就くことには、多くの批判が集まっている。

ミスを連発したブラジル人審判

 ブラジル人レフェリーのウィルトン・サンパイオはコパ・アメリカの終了を待たずに大会を去るかもしれない。彼は試合中多くのミスジャッジを連発しただけでなく、アルゼンチン対パラグアイ戦では、既定の時間より2分早くタイムアップの笛を吹いてしまい、その後、あわててプレーを続行させた。ちょうどオフサイドで試合がストップしたところだったので、幸いにも気づいた者は少なかったが。

カタール協会はPR大成功

 2022年W杯開催国、カタールのサッカー協会は、グループリーグ3試合の前に、5人の協会役員を使って300本のチームマフラーを観客に無料で配布した。そのおかげかマフラーをもらった多くのブラジル人はカタールを応援。彼らの目論見は大成功に終わった。

カタールに勝利し、ようやくひと息ついたリオネル・メッシ photo by Reuters/AFLOカタールに勝利し、ようやくひと息ついたリオネル・メッシ photo by Reuters/AFLO売られたエスコートキッズの権利

 選手と手をつないでピッチに入るエスコートキッズ。通常は近くのサッカーチームの子どもたちや、スポンサーが集めるものだが、スポンサーのマスターカードは今回、ブラジル戦のこの権利を"コパ・アメリカ・エキスペリエンス"として売りに出し、ブラジルの試合に毎回8人のキッズを募集した。

 このパックにはエスコートの権利のほかに、両親の分の試合チケットが2枚、そしてVIPルームの使用権がついてくる。パックの値段はなんと1万レアル(約25万円)。ブラジル戦以外では、エスコートキッズはみんな通常どおりお金など払わずピッチに入り、ラッキーな子どもはリオネル・メッシとだって手をつなげるのだが......。

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