2019.06.25

メッシのアルゼンチンは問題山積。
マラドーナも「トンガに負ける」と苦言

  • セルヒオ・レビンスキー●文 text by Sergio Levinsky
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

 コロンビアに敗れ、パラグアイと引き分けたアルゼンチンは、コパ・アメリカで早期敗退の危機に瀕していた。ブラジルで開催されているこの大会には12チームが出場しており、グループステージで脱落するのは4チームのみ。ウルグアイ(15回)に次ぐ14回の優勝を誇るアルゼンチンにとって、あってはならないことだ。

必死の決勝トーナメント進出。メッシもお疲れ気味 photo by Getty Images そんな苦境のなか迎えたグループステージ第3節のカタール戦で、序盤に相手守備陣の軽率なミスを突いたラウタロ・マルティネスが先制点を決めた時、水色と白のシャツを着た選手たちとリオネル・スカローニ監督は大きく安堵した。そして終盤にセルヒオ・アグエロが勝負を決する追加点を挙げると、彼らは赤っ恥をかかなくて済んだ。

 率直に言って、今のアルゼンチン代表はチームとしての体を成していない。ロシアW杯で惨敗したホルヘ・サンパオリ監督が率いた集団よりも、力が落ちている。その主因のひとつに、経験のない指揮官の存在がある。リオネル・メッシやセルヒオ・アグエロ、パウロ・ディバラといったワールドクラスのタレントが揃うチームを統率しているのは、監督としての経験がまったくないスカローニだ。

 トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノやアトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネら、世界ではアルゼンチン人の優秀な指導者がトップレベルで活躍しているが、まともに機能しなくなって久しいアルゼンチン・サッカー協会には、そんなチョイスしかなかった。サンパオリ前監督のアシスタントを務めていたスカローニしかなかったのである。

 まともな経験を持たないスカローニ監督に多くを望むのは酷かもしれないが、この代表チームには明確な戦術がない。メッシの唯一無二の才能も活かしきれていないし、ディフェンス陣は目も当てられないようなミスを繰り返している。監督を補佐するパブロ・アイマールやワルテル・サムエルらの助けもあって、モチベーションこそ維持されているが、明らかに組織の粗は多い。