チェルシー監督就任の噂も。ランパードが指揮官としても才能を発揮 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 また、チーム全体に浸透しているハードワークも大きな特長のひとつ。選手たちがエネルギッシュに動き回り、ボールロスト後は素早くボール奪取に走る。しかし、奪還のタイミングを逃せば、リトリートして自陣深くでブロックを構築。こうしたメリハリの効いた守備も、ランパード政権の武器だ。

 加えて、英BBC放送が「ランパードの選手補強は効果的だった」と評したように、選手の高齢化が進んでいたダービーにフレッシュな戦力を入れて若返りを図った。

 実際、チームの中心選手は、古巣のチェルシーからレンタルで獲得したMFメイソン・マウント(20歳)やCBフィカヨ・トモリ(21歳)、リバプールから期限付き移籍中のMFハリー・ウィルソン(22歳)といった20代前半の若手に移った。サポーターによるクラブ最優秀若手選手に選ばれた右SBのジェイデン・ボグル(18歳)も、ランパードによって下部組織からトップチームに引き上げられた逸材だ。こうした若手たちが、ランパード監督の志向するアグレッシブで力強いサッカーを体現するようになった。

 途中経過は上々だった。昨年10月には、恩師モウリーニョ監督率いるマンチェスター・ユナイテッドとリーグカップ3回戦で対戦。2−2の同点に持ち込んでPK戦を8−7で制すると、4回戦では古巣チェルシーと接戦を演じた。2−3で敗れはしたが、勇敢な戦いを見せたランパード監督とダービーは英メディアに高く評価された。

 さらに、冬の移籍期間に入ると、チェルシー時代にチームメイトだった38歳のアシュリー・コールを半年の短期契約で獲得。勝利の方程式を知るベテランを入れ、チームの経験値を引き上げた。

 しかし、戦力的にはリーグ中位の粋を出ないダービーは、最終的に6位でリーグ戦を終える。プレーオフに駒を進めると、準決勝でマルセロ・ビエルサ監督率いるリーグ3位のリーズを破り、決勝まで勝ち進んだ。

 こうしてプレーオフ決勝を迎えたが、古豪アストン・ビラとの力の差は大きく、59分までに2ゴールを奪われる苦しい展開に陥った。試合終盤に猛攻を仕掛けて1点を返したものの、それで精一杯。試合後、ランパード監督は「敗戦には落胆しているが、選手にこれ以上は求められない。粘り強く最後まで戦った」と気丈に話した。

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