欧州CLの達人が解析!「紙一重」で勝ち上がったトッテナムの長所 (2ページ目)

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倉敷 壮絶な戦いの末にトータルスコア4-4でスパーズが勝ち上がった同国対決。現地で観戦した小澤さんが気付いた点はまずどこですか?

小澤 ポイントは、第1戦のペップ・グアルディオラ監督の選手起用にあったと思います。なぜあそこでターンオーバーを敷く必要があったのか? なぜフェルナンジーニョとギュンドアンをダブルボランチにした4-2-3-1を使ったのか? ダブルボランチのシステム、戦術が機能せず、失点した後もなぜ89分までケビン・デ・ブライネ、レロイ・サネの投入を待ったのか。そのあたりが解せなかったです。

中山 ペップの采配で言うと、第1戦では負けていたにもかかわらず、89分まで交代カードを2枚も残していました。失点は78分だったことを考えても遅すぎると思いますし、あの時間帯での2枚代えからは反撃の意欲が感じられません。おそらく1点差の敗戦ならホームで勝てると踏んでいたのでしょうね。

倉敷 四冠を狙っていたシティにとって、残された試合の中で唯一負けてもカバーが可能だったのがこのCL第1戦だったのではないか、それゆえにターンオーバーを採用して、システムも変更したのではないかと指摘されていましたね。

小澤 スペインでは、第2戦の前にペップが「自分はチャンピオンズリーグを獲るためにシティに来たわけじゃない」とコメントしたことが、試合前の言い訳に聞こえるということで話題になっていました。たぶんペップは、CLはそのときのコンディションなどに左右されるノックアウト方式の大会であって、それよりも長いシーズンを戦うリーグ戦で勝つことのほうが本当の勝者が決まる、価値は高いと言いたかったのだと思いますけど、第1戦の選手起用を見ていると、その哲学が選手たちにうまく伝わっていなかったのではないかと感じました。

 それと、第2戦は壮絶な打ち合いになったことで、ペップが選手をコントロールできなくなっていました。ああなってしまうとペップも何もできないことを目の当たりにして、若干ペップの限界を感じましたね。たぶん自分が手なずけられる選手たちでチームを作るという意味では、今のシティは完璧に近い作品だと思うんですけど、CLを制するためには違う次元の選手がいないと難しいと思いますし、今後ペップがそれを受け入れてチームに特別な選手を迎え入れるのかどうか、そこは個人的に楽しみに見たていきたいと思います。

中山 それにしても、やっぱりシティは勝てなかったですね。あれだけの投資を続けて戦力を揃えていながら、また勝負弱さを露呈してしまいました。

小澤 スペインのメディアでも、「結局、ペップはメッシがいないと勝てない」と言われています。バイエルンで3年、シティ3年と、メッシのいるバルサを去って6年もCLを勝っていないという記事が出ていました。

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