欧州CLの達人が解析!「紙一重」で勝ち上がったトッテナムの長所
サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。この企画では、経験豊富な達人3人が語り合います。今回のテーマは欧州CLの準々決勝レビューと準決勝プレビュー。マンチェスター・シティとの激戦を勝ち上がったトッテナムの戦力を分析します。
――今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)は、トッテナム(スパーズ)、アヤックス、バルセロナ、リバプールの4チームがベスト4に勝ち上がりました。そこで今回は、お三方に準々決勝を振り返っていただきつつ、準決勝2カードを展望していただきたいと思います。まずは、4月30日(日本時間5月1日早朝)に第1戦が行なわれるトッテナム対アヤックスからお願いします。小澤さんは、現地で準々決勝を取材されたそうですね。
小澤 はい。トッテナム対マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナは、第1戦と第2戦の両方を現地取材してきました。
倉敷 トッテナムの新スタジアムはいかがでしたか?
CL準々決勝第2戦で2得点のトッテナムのソン・フンミン小澤 すばらしい雰囲気でした。最近の大規模スタジアムは、アトレティコ・マドリーのワンダメトロポリターノもそうですが、大きいがために客席の傾斜が緩やかだったり、 声援が外に抜けてしまったり、熱気が薄まってしまったりするケースが多いと思いますが、スパーズのスタジアムは観客の声援が反響するんです。
サポーターの歌声や声援が選手にダイレクトで伝わるという点で、とても優れていると感じました。スタンドの傾斜も国内の建築法で可能な最大の角度になっているそうで、観戦しやすさという点でも最高レベルだと思います。
倉敷 現地に行った人でないと知り得ない重要な情報ですね。スタジアムの良し悪しは、ピッチ状態云々よりも、いかにスタンドにいるサポーターの情熱が伝わるかがポイントです。予定よりかなり工期は伸びましたが、スパーズは「待って良かった」ということになりますね。
中山 たしかスタジアムに焼きたてのパンが食べられるベーカリーがあるとか。
小澤 そうらしいですね。ただ、観戦時に存在を確認できませんでしたがパン屋さんはありました。ほかにも、試合当日は稼働していませんでしたが、スタジアム内にはクラフトビール工場もあったりして、とにかくエンターテインメント性の高いスタジアムでしたね。スパーズにとっては、CLの大一番で新スタジアムを使えたというのは大きかったのではないでしょうか。
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