ケガ人続出で竜頭蛇尾。絶対王者・パリがハマった「落とし穴」

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 リーグアン第33節。15時キックオフで行なわれたトゥールーズ対リールの試合がゴールレスドローに終わった瞬間、今シーズンのフランス国内チャンピオンが決定した。もちろん優勝したのは、その4時間後にホーム、パルク・デ・プランスにモナコを迎えた絶対王者パリ・サンジェルマン(パリ)である。

シーズン終盤も好調を維持しているムバッペシーズン終盤も好調を維持しているムバッペ しかし2年連続通算8度目のリーグタイトルは、長いシーズンのハードワークの末に勝者だけが味わえる美酒としては、実に微妙な味わいになった。

 そもそも、パリが最初に優勝に王手をかけたのは第31節のストラスブール戦だった。ところが、勝てば優勝が決まるという条件下で、不覚にもホームの大観衆の前でスモールクラブ相手に2-2のドロー。

 さらに翌週の2位リール戦では、前半36分にフアン・ベルナトが退場したことも影響し、5-1という歴史的大敗を喫して優勝が持ち越しになっている。

 その3日後、3度目の正直で臨んだはずの延期試合でも、指揮官ヴァヒド・ハリルホジッチが家庭の事情で試合を欠席したナントに対して、3-2の敗戦。どちらもアウェーとはいえ、リーグ戦で連敗を記録したのは2011年11月以来の失態だった。

 もっとも、国内では無敵を誇るはずのパリがこのような事態に陥った最大の要因は、大事なシーズン終盤戦にきて故障者が続出したことにある。ネイマール、エディンソン・カバーニ、アンヘル・ディ・マリア、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、マルコ・ヴェラッティ、トマ・ムニエ、ユリアン・ドラクスラー......。

 入れ替わり立ち替わりで主力が戦列を離れたため、2月以降はリーグアンのベンチ要員規定の7人を満たすことさえままならず、「スタメン11人+サブ5、6人」で試合に臨まざるを得ないケースが日常化していたのだ。最大の売りであるMCNトリオ(キリアン・ムバッペ、カバーニ、ネイマール)の競演も、9-0という歴史的大勝を収めた1月19日のギャンガン戦以来、実現していなかった。

 MCNが久しぶりに同じピッチに立ったのが、優勝決定後に行なわれた冒頭のモナコ戦になるとは、何とも皮肉な話である。

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